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調査内容 2008年第4四半期IT予算(分野別)の「金融危機以前の計画」比
調査時期 2008年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3229件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2008年12月の調査で,「回答者が予算執行・承認権限を持つシステム分野の2008年10月~12月四半期の予算が,2008年9月の金融危機以前の計画と比べてどう変わったか」を聞いたところ,全ての分野が危機以前の計画に対して約15%以上のマイナスで,最大は業務アプリの「SCM系」の29.6%減だった。

 業務アプリケーション8分野(「その他の業務分野」を除く)の2008年10月~12月四半期予算は危機以前の計画に対し約17%~30%減,システム・インフラ7分野(「その他のインフラ分野」を除く)は約16%~18%減。「新規システム開発」と「既存システムの再構築」は約20%~22%減。「ハード購入」「ソフト購入」もほぼ同じ約23%減。業務アプリの「生産管理」「経営戦略系」「SCM」のカット幅(約28%~30%減)がやや突出して大きく,逆に予算減の幅が小さかったのは「運用・保守開発」の約15%減だった。

「予算減」即「支出減」となった「ストレージ系」と「運用・危機対策系」

 1月16日付けの記事で紹介した「2008年第4四半期のIT支出額の『金融危機以前の計画』比」の結果と,この「2008年第4四半期予算の削減率」を比較すると,全分野とも「予算の削減率」の方が大きい。2008年10月~12月期の段階では,「まずIT投資の予算減が決定されたが,支出額のカットはやや立ち遅れた」と見てよいだろう。

 分野別に見ると,業務アプリ分野は「予算の削減率」と「支出額の削減率」の差が3.6ポイント(CRM・顧客関連)~13.2ポイント(生産管理)。インフラ分野は1.0ポイント(ストレージ系)~6.8ポイント(アプリケーション(システム)間連携基盤系)の差。「運用・保守開発」は約4ポイント,「新規開発」と「ハード購入」は約5ポイント,「再構築」と「ソフト購入」は予算削減率と支出削減率が約7ポイントの差だった。

 特に両者の差が小さかったのは「ストレージ系」(1.0ポイント)と「運用・危機対策系」(1.3ポイント)。逆に「予算の削減率」と「支出額の削減率」の差が大きかったのは,業務アプリ分野の「生産管理」(13.2ポイント),「物流」(11.4ポイント),「経営戦略」(10.5ポイント),「SCM」(9.6ポイント)だ。この4分野はいずれも「予算の削減率」が約22%~30%と大きい上,システム構築プロジェクトの規模も巨大になりがちな分野ばかりで,「支出が急には止まれない」という側面がある。逆に言えば,これらの分野でまだ具体的なIT支出額のカットが表出していないとしても,大幅な投資カットが水面下で動き出している,と見たほうがよい。

投資意欲のファンダメンタルは「前年比1ケタ増」ペース

 さらに,昨日(1月22日付け)公開の記事で紹介した「2008年第4四半期予算の前年同期比増減率」と,下に図示した「金融危機の影響による2008年第4四半期予算の削減率」を比較してみると,最も大きな差があったのは「既存システムの再構築」の10.4ポイント(前年同期比-11.7%,金融危機の影響-22.1%)。もし今回の金融危機の直撃がなければ,「システム再構築」分野では前年同期比2ケタ近い予算増がありえたことになる。

 この尺度で他の分野もみてみると,業務アプリ分野は約4~8ポイント,ハード/ソフト購入も約8ポイント,「新規開発」は約6ポイント,「運用・保守開発(信頼性向上、コスト・ダウン)」は約3ポイント,それぞれ金融危機の影響による予算削減の率が,前年同期比の予算減少率を上回っている。これらの各分野は,金融危機の影響によるIT投資の抑制機運が一過性のもので済めば,再び前年比1ケタ増ペースで投資が拡大すると期待できそうだ。

 やや微妙なのがインフラ分野である。7分野のうち「セキュリティ」と「ネットワーク系」,「アプリケーション(システム)間連携基盤系」の3分野は,上と同じ尺度で約4~5ポイントのマージンがあった。しかし「情報系(グループウエア,情報共有)」は0.4ポイント差。「ストレージ系」と「運用・危機対策系」は-2.5ポイントと-2.0ポイントで,金融危機の影響よりも前年同期比の予算減少率が大きい。

 「ストレージ系」と「運用・危機対策系」はともに前述の「予算の削減率」と「支出額の削減率」も僅差で,ユーザーが「予算カット即支出カット」に動いたと見られる。近年,需要増の追い風が吹いていると思われていた両分野だが,実はすでにユーザーの投資意欲が減退し始めていた可能性もある。

 次週(1月26日付け)公開の記事では,2009年第1四半期(2009年1月~3月)と2009年度(2009年4月~2010年3月)のIT投資予算についての調査結果を報告する。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,予算執行・承認権限を持つ人を対象に,「執行・承認の権限を持つシステム分野の2008年10月~12月四半期の予算は,2008年9月の金融危機以前の計画と比べてどう変わったか」を聞いた。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 本文と図中のパーセンテージは,選択式回答の「予算ゼロに変更した」を-100%,「75%以上減額した」を-87.5%,「50%~75%減額」を-62.5%,「30%~50%減額」を-40.0%,「15%~30%減額」を-22.5%,「5%~15%減額」を-10.0%,「危機以前の予算通り」を0.0%,「危機以前の予算より増額した」を+10.0%に換算して加重平均した値である。
 調査実施時期は2008年12月中旬,調査全体の有効回答は3229件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●最新四半期(2008年10月~12月)の分野別IT予算~金融危機以前の計画比
図●最新四半期(2008年10月~12月)の分野別IT予算~金融危機以前の計画比