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調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2008年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3229件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2008年12月調査では,「Windows Azure」「MDM(Master Data Management)」「共通キャリア・スキルフレームワーク」の3つのキーワードを取り上げた。

「Windows Azure」は「聞いたことがない」61.2%

 2008年10月末に米Microsoftが発表した「Windows Azure」。「Windowsクラウド」と仮称されていたWindows Azureの実態は,マイクロソフトのデータセンターで稼働するホスティング環境のOSに相当するもの。ユーザーがWindowsサーバー上に構築し稼働させていた既存のWebアプリケーションを,そのままマイクロソフトのホスティング・サービス上で動かすための基盤ソフトで,高い信頼性と仮想技術に基づく拡張性を備えるとされている。

 2008年12月調査のキーワードにこの「Windows Azure」を提示したところ,認知度のスコアは今回も含めこれまでに提示した81種のキーワード(2008年10月調査で同じキーワードを提示し再調査した初回2006年9月調査分を除く)の平均値2.19を大きく下回る1.64。「聞いたことがない」とした回答者が61.2%,「聞いたことがある」とした回答者が30.0%。「業務に通用する知識がある」は0.9%,「ある程度理解している」も7.9%でともに81種中下から10番目以内の低さだった。

 ちなみに2006年11月調査での「Windows Vista」(2005年7月に開発コード名Longhornから正式にVistaとして発表,2007年1月末正式出荷)は,「ある程度理解している」が最も多く57.1%で,「聞いたことがない」は2.3%,「聞いたことがある」が30.7%。2008年4月調査の「クラウド・コンピューティング」は「聞いたことがない」が61.2%,「聞いたことがある」が27.0%だった。

 「Windows Azure」を,「聞いたことがない」とした回答者を除いて集計した“業務への影響度”スコアも,81種平均の2.88に届かず2.54。「将来かかわる可能性がある」の比率が61.6%と高いが,「自分の業務に関係ない」も81種の平均(27.1%)より多い30.8%だった。

 同じく「聞いたことがない」とした回答者を除く“応用/利用状況”スコアは,まだそれを用いたマイクロソフトのホスティング・サービスの商用開始時期も未定(2010年の見込み)の段階なので当然だが,81種中最低の1.13だった。内訳を見ると「導入を計画」は4.4%,「具体化していない」は92.9%で,前出の「クラウド・コンピューティング」の「導入を計画」3.4%,「具体化していない」92.4%とほぼ同じだった。

正確かつ一貫性のあるマスター・データを作る「MDM」も認知度低いが「将来かかわる」高率

 企業内のさまざまな情報システムにばらばらに構築された顧客マスターや製品マスターを,統合マスターに集約してデータの正確性と一貫性を確保する手法や考え方が「MDM(Master Data Management:マスター・データ管理)」。各データベース上のデータを同期したり転送するツール,名寄せやデータ・クレンジングのツール,統制(ガバナンス)ツール,統合後の情報分析に用いるBI(Business Intelligence)ツールなど,さまざまな機能のものが「MDMの実現に必要不可欠な製品」と名乗りを上げている分野だ。

 2008年12月調査のキーワードとして「MDM(Master Data Management)」を提示したところ,認知度スコアは1.64でこれまでの81種のキーワード中,下から6番目。69.4%の回答者が「聞いたことがない」とした。2007年9月調査で聞いた「マスター統合/コード統一」(認知度スコア2.50)は「業務に通用する知識がある」が10.4%,「ある程度理解している」が26.3%を占めていたのに比べると,“3文字コトバ”のMDMには親近感が湧きにくいようだ。

 「聞いたことがない」とした回答者を除いて集計した「MDM」の“業務への影響度”は,スコア換算で2.78と,81種の平均スコア2.88に接近。特に「将来かかわる可能性がある」の64.1%は,2008年8月調査の「ホット・マイグレーション」(63.9%)を上回り,歴代トップの高率だった。ちなみに前出の「マスター統合/コード統一」は「自分の業務とかかわる」が37.3%,「将来かかわる可能性がある」43.1%で合計するとほぼ8割だった。「MDM」も「将来かかわる」に「自分の業務とかかわる」の12.4%を加えると76.5%になる。

 「MDM」の“応用/利用状況”スコアは1.29で「マスター統合/コード統一」の2.20,81種の平均スコア1.64との差は大きい。「全社的に運用」~「一部で試験運用」の合計が7.8%でこれまでの81種のキーワードの下から15番目。前出の「マスター統合/コード統一」は「全社的に運用」~「一部で試験運用」の合計が32.5%で81種の上から9番目と,ここは対照的な結果だった。

「共通キャリア・スキルフレームワーク」は「全社的に運用」~「一部で試験運用」が合計15.2%

 先に紹介した「Windows Azure」の正式発表と同じ2008年10月に,経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が第1版を公開した「共通キャリア・スキルフレームワーク(Common Career & Skills Framework:CCSF)」。インテグレータなどに働く技術者のITスキルを測る「ITスキル標準(ITSS)」や,ユーザー企業に働く技術者のITスキルを測る「情報システムユーザースキル標準(UISS)」など,従来のITスキルを測る尺度は,業態を超えた共通の尺度になっていなかった。これを同じ基準でIT人材の知識/スキルを評価できるようにするのが「CCSF」である。

 過去,2007年9月調査で提示した「ITSS」は認知度2.48,業務への影響度3.33,応用/利用状況1.87とも,81種の上位25位以内の高スコア。しかし2007年12月調査で提示した「UISS」は,2007年6月に策定されたばかりでの調査だったこともあり,認知度1.71(65位),業務への影響度2.99(30位),応用/利用状況1.34(64位)と低スコア。「将来かかわる」の58.1%(13位)以外は認知度,利用状況ともまだまだ,という結果だった。

 2008年12月調査のキーワードとして提示した「共通キャリア・スキルフレームワーク」の結果は,認知度1.60(73位),業務への影響度は2.86(39位)で81種の平均スコア2.88とほぼ同じ,応用/利用状況1.56は81種の中央値(平均値は1.64)という結果だった。

 「CCSF」に対する回答の内訳を見ると,認知度では「聞いたことがない」が67.0%(81種中10位)と高い。しかし応用/利用状況の「全社的に運用」が6.0%で,81種中20位とこれも高め。「全社的に運用」~「一部で試験運用」の合計は15.2%で,「ITSS」の24.6%と「UISS」の9.3%の中間の値だった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。なお,認知度で「聞いたことがない」とした回答者の「業務への影響」と「応用/利用状況」への回答は無効として集計から除外している。
 調査実施時期は2008年12月中旬,調査全体の有効回答は3229件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度
図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響
図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況
図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況