調査会社の矢野経済研究所は2010年11月1日、「IFRS(国際会計基準)関連IT市場動向に関する調査結果2010」を発表した。市場規模のピークは2012~13年で、2012年が1907億4800万円、13年が2197億7400万円とした。2010~16年までの7年間の累計で市場規模は8293億円と予測している。
調査によると、1社当たりの平均予算額は1億1450万円。矢野経済研究所は「企業規模や経営方針によって、情報システム対応の範囲や方法は大きく異なるため、企業によってばらつきもある」と調査結果を分析している。
情報システムのIFRS対応のスケジュールについては、「2011年からプロジェクトが本格的に始まり、システム導入のピークは2012~13年」と予想。「J-SOX(日本版SOX法)対応で過大な投資を行った経験を持つ企業も多く、IT投資に対しては慎重な姿勢が目立つ」とした。
実際、企業に「IFRS適用のための情報システム対応に関する課題(最大三つまでの複数回答)」を聞いたところ、最も多かったのは「コスト負担が大きい」(62.1%)だった。「自社内の人材が不足している」(55.9%)、「IFRSに関する理解が不足している」(46.4%)がこれに続く。
調査は2010年9月に実施。日本の上場企業261社に対するWebアンケートと、ITベンダー9社への直接取材を基にまとめた。2015年3月期にIFRSの強制適用(アダプション)があるとの前提に立っている。IFRS関連IT市場には、会計システム、ERP(統合基幹業務システム)パッケージ、その他業務システムパッケージ、コンサルティングやシステムインテグレーションなどのサービス、システム導入のための機器などが含まれる。