米VoIPは,ブロードバンドとパケット通信向け緊急通報(911)サービスの提供を開始した。同社が米国時間9月8日に明らかにした。同サービスは,VoIP社の子会社であるVoiceOne Communications社のデータ・ネットワーク,VoIP社のルータ,ソフトスイッチ,メディア・ゲートウエイ・コントローラを通じて提供される。サービスは,同日より試験的に提供が開始され,本格的な導入は10月になる見通しだという。

 VoIP社のサービスでは,同社のVoiceOne MPLSネットワークを利用して,VoIPからの911通報を地元の適切な応答センター(PSAP:Public Safety Answering Point)に接続する。通報は,VoiceOneネットワークの5カ所に設置されたエントリ・ポイントを通じて接続される。通信事業者,サービス・プロバイダ,ケーブル事業者は,911サービス機能をVoiceOneのWebポータルまたはXMLプロビジョニング・システムからほぼリアルタイムで管理できる。

 同サービスでは,VoIPからの911通報の完了を確認できるQoS機能も提供している。加入者は,通報が行なわれたことを確認する通知を電子メールまたはSMSで受け取ることができる。また,加入者は,オンライン上で,住所の修正を行なったり,VoIPを携帯電話から利用していることを届け出ることができるようになっている。

 同社CTOのShawn Lewis氏によれば,同社が提供する911サービスは,全米のPSAPの40%に接続されており,10月には60%に拡張されるという。PSAPに直接接続されない地域,または加入者が携帯電話で登録している場合には,通報には同社のネットワーク・オペレーション・センター(NOC)が対応し,そこから適切なPSAPに転送される。

 米連邦通信委員会(FCC)は,E911を通じてVoIPプロバイダに対し,今年11月末までにすべてのサービス加入者に緊急通報サービスを提供するよう義務づけている。E911の執行に焦点を当てたタスク・フォースを7月25日に発足。同タスク・フォースは,消費者が自分の権利などを理解するための教材を開発するほか,プロバイダの遵守を支援するとともに,最良事例データの取りまとめや共有に取り組んでいる。

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