米IDCは,米国の垂直市場における無線LANとIPテレフォニ機器に関する調査結果と予測を米国時間10月13日に発表した。それによれば,2005~2009年において専門サービスと個人サービス業界が米国の無線LAN市場を促進するという。

 同社によれば,専門サービスと個人サービス業界における無線LAN機器への支出は,2009年までに2倍以上に増大し,5年間の年間平均成長率はそれぞれの部門でおよそ20%に達するという。

 同じように,同期間において経費節約と豊富な機能を理由として,ITテレフォニ機器に対する支出も増加すると予想される。とくに金融サービスと小売り部門においてITテレフォニ機器への支出が急増するという。支出額でみると,引き続き政府機関部門がもっとも高くなることが予想される。同部門は,2004年において無線LAN機器に1億ドル,IPテレフォニ機器に1億1800万ドル投資している。

 同社の垂直市場調査部門シニア・アナリストのDan Corsetti氏は,「無線LAN上で利用できる多くのアプリケーションが存在するが,どの事業や業界でも利用できるアプリケーションの数は少ない。そのため,導入の際に異なる垂直業界における無線LANの投資対効果を検討する必要がある」と説明。

 「通常,基本的な接続が可能になっただけでは主な促進力にはならない。データを中心とした重要な業務アプリケーションを決定したり,基本的な接続以外の無線音声,固定/モバイル・コンバージェンスといったコスト面の推進要因も確認する必要がある」(同氏)

 IDC社では,専門サービス会社内の無線LAN導入を促進するために,ローカルのモバイル・ワーカー向け接続と受信可能範囲の拡大や,一時的な無線LAN配備といったニーズに対応することが必要だと考えている。

 また,個人向けとその他のサービス業界に関しては,激化する競争によって無線LANの普及が促進されると予想している。特に,個人向けサービスとその他のサービス部門を組み合わせたサービス業界は,顧客ケアや満足度の向上,競合企業との差別化を図り,ゲストに無線インターネット・サービスを提供するため,同技術の主な採用者になると予想している。

 無線LANの導入と同じように,金融サービス部門におけるIPテレフォニ機器の導入は,ネットワーク化されたアプリケーションのパフォーマンスの向上,リアルタイムのデータ統合促進といった業界のニーズをもとに進むという。成長率はそれほど高くないが,同期間において顧客ケア,サービス,サプライ・チェーン管理などの向上を狙い,小売業界のIPテレフォニ機器の利用も大きく拡大すると同社は予想している。

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