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 欧州連合(EU)と米Microsoftによる独占禁止法(独禁法)違反の物語に,続編が始まりそうな気配がある。EUの独禁法担当委員であるNeelie Kroes氏が3月第2週に,「Microsoft Officeによる独禁法違反の有無を調査するかどうかについて,検討を行っている」と語ったのだ。

 EUは,米IBM,米Oracle,米Sun Microsystemsとその他6社によるグループEuropean Committee for Interoperability Systems(ECIS)からの告発を受け,予備的な調査を始めた。ECISは「Microsoftが各種Office関連技術を不正に隠蔽した結果,Officeと相互接続可能なソリューションの開発が阻まれている」と主張した。ECISが疑念を抱くのは,Microsoft Officeがオフィス・スイート市場の95%を支配し,ワープロや表計算,一般的な業務のデファクト・スタンダードとなっているからだ。

 ECISの担当弁護士Thomas Vinje氏は「Microsoftがファイル・フォーマットやその他の情報の開示を拒絶したことについて,われわれは証拠を持っている」と述べた。「様々なワープロおよび表計算,プレゼンテーション用のプログラムが,Microsoft Officeとの完全な相互接続性を実現できないでいる」(Vinje氏)。ECISに加わっているSunは,Microsoft Officeと競合し,同じデータ・フォーマットを採用するスイート製品,OpenOffice.orgとStarOfficeを手がけている。

 EUは「ECISの主張を検討中」とした。東京で開催されたEUと日本による独禁法カンファレンスの会場で,Kroes氏は「告発があれば,それをまじめに扱う義務と責任がある」と話した。「申し立てが妥当ならば,(Microsoftに対する調査を)実施する」(Kroes氏)

 Microsoftは情報を隠したことを否定し,EUに対して自社の見解を主張した。さらに,主張を補強するため,IBM,Oracle,Sun,EUのあいだで交わされた書簡の閲覧を求めている。