米Novellが,企業向けデスクトップLinux OSの新版「SUSE Linux Enterprise Desktop」をドイツで現地時間3月9日に発表した。2006年夏ごろ利用可能とする予定。
SUSE Linux Enterprise Desktopには,Novell社版のオープンソース・オフィス・スイート「OpenOffice.org 2.0」を同梱する。さまざまなVisual Basicマクロを備えており,「OpenOffice.orgとMicrosoft Officeのあいだにある大きな互換性面の差異を小さくする」(同社)という。
Windows環境からLinuxへの移行作業を省力化するために,Windowsの各種通信プロトコルに対応したほか,Microsoft Exchangeと接続可能な電子メール・クライアント「Novell Evolution」を備える。Windowsプロトコルに対応したことで,ネットワーク・プリンタをはじめとする標準的なWindowsのネットワーク機能が利用できるほか,既存のActive Directory環境にそのまま組み込める。
米IBMが提供する予定の「IBM Workplace Client Technology」用プラグイン「Lotus Notes Application」を使うと,「Lotus Notes」のアプリケーション,データベース,電子メールの利用が可能となる。Novell社のコラボレーション管理ソフトウエア「Novell GroupWise」にも対応する。
デスクトップ検索機能を備え,USBメモリーも利用できる。ブート処理の高速化,消費電力管理機能の改善,無線LAN機能の強化,Bluetooth対応,アプリケーション・セキュリティ基盤「AppArmor」の採用も行った。
Novell社は「SUSE Linux Enterprise Desktopは安全性の高いOSで,オフィス・スイート,Webブラウザ,インスタント・メッセージング・クライアント,ファイル管理機能,デスクトップ検索機能,自動ソフトウエア管理ツールが最初からそろっており,Windowsで同等の機能を実現するにはソフトウエアを追加購入する必要がある」としている。具体的な価格は明らかにしていないが,MicrosoftのWindowsとOfficeを組み合わせる構成に比べ10%低価格で購入できるという。
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