米Microsoftは米国時間3月27日,中堅・中小企業向け業務アプリケーション・ブランド「Microsoft Dynamics」の今後の構想について明らかにした。Dynamics製品では,複数の異なるソースからサービスや機能を集めて組み立てる「コンポジット・アプリケーション」,いわゆる“マッシュアップ”を主な柱の一つとする。テキサス州ダラスで開催中の業務ソリューションのカンファレンス「Convergence 2006」で同社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が基調講演を行ったもの。
業務アプリケーションの業界では,コンポジット・アプリケーションの手法が台頭している。Webサービスの業界基準を使い,構造化/非構造化データから必要に応じて情報を即座に入手することが可能だ。Dynamicsアプリケーションでは,ソフトウエア開発者が簡単に新たなソリューションをコンポジットできるように設計する。
なお,同社は企業向け事業の「People-Ready」構想を3月16日に発表している。同社が今後1年間にさまざまな分野で展開していく一連の革新の背景となるもので,「社員に適切なソフトウエア・ツールを与え,社員が世界規模で協力しながら作業し,顧客と即座に連絡を取って対応し,直感的にプロセスを改善できるようにする企業,それがPeople-Readyだ」(同社CEOのSteve Ballmer氏)と説明する。
「企業には,システム全体にわたるプロセスの定義および展開を可能にする,よりフレキシブルな手段が必要だ。それにより,各社員がそれぞれの生産性を最大限に高めることができる。当社は,業務システムに生産性向上ソフトウエアおよびコラボレーション・ソフトウエア,さらにオンライン環境を合わせて提供する。企業は,ロール・ベースのコンポジット・アプリケーションを作成し,社員が中核となって的確な意思決定や行動をとり,業務を推進することができる」(Gates氏)。
またGates氏は,Dynamics製品における主な柱として,コンポジット・アプリケーション以外に4つ挙げた。
・ユーザーの役割や職務に応じたモデル設計。従来の業務アプリケーションと「Microsoft Office」などのオフィス・ツールを組み合わせ,使い勝手の良いユーザー・インタフェースを提供する。
・サービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースにする。急速に変化するビジネス要件への対応,既存システムの有効利用,アウトソーシングやホスティングを含む導入モデルの幅広い選択肢を可能にする。
・Webベースのコラボレーション・ソフトウエア「Windows SharePoint Services」などを基盤にした統合コラボレーション。セキュリティを確保した正当な手段で,社員,パートナ,サプライヤがいつでもデータにアクセスできるようにする。
・迅速で的確な意思決定を支援する。レポート作成ソフトウエア「SQL Server Reporting Services」などのツールにより,ユーザーは自身の役割に関連した情報を自動的に取得できる。
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