PR

 英Economist Groupの企業情報部門Economist Intelligence Unit(EIU)は,2006年における世界の情報通信技術(ICT)の整備状況"e-readiness"について調査した結果を,英国時間4月26日に発表した。それによると,調査対象国のほとんどが昨年より高得点を獲得したほか,先進国と他国の格差が狭まりつつあるという。

 調査は,EIUが米IBMと共同で実施したもの。各国のICT整備状況を,接続性,ビジネス環境,消費者と事業者の導入状況,法規制環境,社会的・文化的基盤,eサービス支援の6分野について評価した。

 同社によると,新興市場は携帯電話やインターネット接続の普及率向上などを通じて,格差を縮めている。またインド,ベトナム,ブルガリアのように,ITアウトソーシングを積極的に増やすことで,e-readinessを整備している国もある。

 また,先進諸国における格差も消えつつある。ブロードバンド接続をみると,韓国や日本といった早期導入国で普及率が横ばいとなる一方,ノルウェーやスイスなどの国々が追い上げている。先進諸国では,格差を生む要素がブロードバンド接続から,情報セキュリティや革新といった他の要素へと移行しつつあるという。

 上位10カ国のうち,西欧諸国が6カ国を占めた。デンマークが昨年に引き続き首位を維持したほか,スウェーデン(4位)やフィンランド(7位)がモバイル環境やインターネットの普及といった接続性で高得点を獲得した。

 躍進が目立ったのは8位のオーストラリアと9位のカナダ。前年はそれぞれ10位と12位だった。同社は,「カナダの接続性は香港などの国々より劣るが,eサービスの支援が大幅に向上した」と説明する。なお,日本は前年と変わらず21位だった。

 IBM社Institute for Business Value部門担当グローバル・リーダーのGeorge Pohle氏は,「経済の進歩は,技術の革新的な利用に大きく依存するようになった。インターネットや通信技術が広く普及した先進国では,ITインフラを利用した新しいサービスを創出できるかが,今後の競争力を決定する。一方,開発途上国では接続性を向上するための投資を継続することが重要」と指摘した。


■ 2006年のe-readiness上位20カ国ランキング(得点:10ポイント満点)

2006年 2005年 国名 2006年 2005年
順位 順位 得点 得点
1 1 デンマーク 9.00 8.74
2 2 米国 8.88 8.73
3 4 スイス 8.81 8.62
4 3 スウェーデン 8.74 8.64
5 5 英国 8.64 8.54
6 8 オランダ 8.60 8.28
7 6 フィンランド 8.55 8.32
8 10 オーストラリア 8.50 8.22
9 12 カナダ 8.37 8.03
10 6 香港 8.36 8.32
11 9 ノルウェー 8.35 8.27
12 12 ドイツ 8.34 8.03
13 11 シンガポール 8.24 8.18
14 16 ニュージーランド 8.19 7.82
14 14 オーストリア 8.19 8.01
16 15 アイルランド 8.09 7.98
17 17 ベルギー 7.99 7.71
18 18 韓国 7.90 7.66
19 19 フランス 7.86 7.61
20 -- バミューダ* 7.81 --

*注記:バミューダは今年より調査対象

出典:EIU

[発表資料(1)へ]
[発表資料(2)(PDF形式)へ]