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図1●WinHEC2006で基調講演に立つBob Muglia氏
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図2●仮想マシンに,ネットワーク・インターフェース・カードを動的に追加するデモ
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図3●仮想マシンのメモリー容量を4Gバイトから5Gバイトに動的に増設するデモ
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 米Microsoftは5月23日,米国シアトルで開催されている「WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference) 2006」で,次期サーバーOS「Windows Server Longhorn」(開発コード名)に実装される仮想化技術に関する概要を説明した。同時に,Windows Server Longhornのスケジュールを発表した。同社上級副社長のBob Muglia氏が,基調講演で明らかにした(図1)。

 昨今注目を集めている仮想化は,ITの管理の複雑さとコストを削減する主要な技術である。近年,IT化が進み,たくさんのサーバーが企業内に導入された。だが実際には,それらの稼働率は一般に高くない。そこで仮想化技術を利用して,複数サーバー・マシンをより少ない物理マシンに集約し,サーバー・マシンの稼働効率を向上させようという動きがある。最新のハードウエアに対応しない旧OS向けの旧アプリケーションを,仮想化技術を利用して最新のハードウエアに移行させようというねらいもある。

 Windows Server Longhornには,Hypervisor型の仮想マシン機能が実装される。Hypervisorはハードウエア上で直接動作し,物理的なハードウエアを仮想化して複数の仮想マシンにハードウエア・リソースを提供する。Hypervisorが作り出す複数の仮想マシン上では,それぞれ独立したOSを同時に動かせる。

 Microsoft会長兼Chief Software ArchitectのBill Gates氏は,5月23日,WinHECの基調講演で,1台のサーバー・マシンでWindows Server Longhornを動かし,その上で複数の仮想OS環境が稼働するデモを行った。仮想環境ならばネットワーク・インターフェース・カード(NIC)といったハードウエアを動的に追加したり,メモリー容量を動的に増設できる。実際,NICやメモリーを,OSをシャットダウンせずに追加/増設できる様子を示した(図2,3)。CPU数の増減も可能である。Windows Server Longhorn上の仮想マシンには1台当たり,最大32Gバイトのメモリー,8個のCPUを割り当てられる。

 このような仮想マシンの環境設定などを行う管理ツールとしては,「System Center Virtual Machine Manager」(開発コード名「Carmine」)が用意される。2007年後半に出荷予定だ。

 このような仮想環境は既に構築可能である。Microsoftは2006年4月に,サーバー向けの仮想マシン・ソフト「Virtual Server 2005 R2」を無償化した。既に20万以上のダウンロードを数えているという。Virtual Server 2005 R2には,2007年第1四半期にService Pack 1が無償提供される。Virtual Server 2005 R2 SP1では,CPUに実装された仮想化機能の「Intel Virtualization technology(VT)」と「AMD-Virtualization」(開発コード名「Pacifica」)に対応する。Windows Server 2003のVolume Shadow Serviceにも対応する。

 Virtual Server 2005 R2で構築した仮想OS環境は,Windows Server Longhornにも簡単に移行できるという。Virtual Server 2005 R2は,それ自身がWindows Server 2003(ホストOS)上で動作するアプリケーションで,さらにVirtual Server上で複数のOS(ゲストOS)を同時実行させる。そのため,オーバーヘッドによる処理性能の低下などがある。Windows Server LonghornのHypervisor型仮想マシンでは,仮想環境の処理性能がより高まる可能性がある。

 Windows Server Longhornのベータ2は5月23日,Windows Vistaや2007 Microsoft Officeと同時に提供が始まった。その後,ベータ3を2007年前半に公開し,製品版を2007年後半に出荷する。その間,CTP(コミュニティ技術プレビュー)版を随時公開する。