米ABI Researchは米国時間5月23日,非接触型決済市場について調査した結果を発表した。それによると,カードをベースとする非接触型決済システムは新しいが機能が限られている。そのため,すでにカードから近距離無線通信規格「Near Field Communication(NFC)」対応の携帯端末による決済システムに移行する兆候が見られるという。
同社は1年前の調査の結果,2005年に北米で発行される非接触型決済カードの数は1000万枚を超えると予測していた。今回の調査では,2006年に世界で4000万枚を超えるカード,ミニカードが出荷されると予想している。
同社によれば,非接触型決済は急上昇する成長曲線上にあるが,カードは中間地点でしかない。2010年までに50%以上の携帯電話機はNFC機能を搭載するようになり,その数は5億台に相当する。NFC機能は販売場所やリモートの支払いだけでなく,‘スマート・オブジェクト’として情報へのアクセス機能も提供する。たとえば,行きたいコンサートのポスター広告を目にする。ポスターに携帯電話をかざしてWebサイトにアクセスすれば,チケットを購入して端末にダウンロードできる。
同社RFID/M2M部門担当ディレクタのErik Michielsen氏は「技術ベンダー,カード発行者,サービスと製品プロバイダは,シリコン,アンテナ,メモリーといった技術だけでなく,高度なシステムが提供できるリアルタイムの情報をどのように利用するかを総体的に考える必要がある」とコメントしている。
また,同氏は業界にとって顧客関係および統合型決済プラットフォームにおけるブランド・アイデンティティの管理が長期的な課題になると指摘している。
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