米AMDは先日,ノート・パソコン向けデュアルコア・プロセッサ「Turion」の64ビット版をリリースして,同社のプロセッサ製品ラインアップで最後まで空白だった64ビット製品の穴を埋めた。これでAMDは,サーバーとデスクトップ・パソコン,ノート・パソコン向けの64ビット版デュアルコア・プロセッサをそろえ,米Intelでさえ実現できていない偉業を成し遂げた。さらにAMDは,デスクトップ・パソコン向け新型プロセッサ「Athlon 64」の出荷を始め,新型ソケット,より高速なアクセスが可能なDDR2メモリー,同社のプロセッサ仮想化技術「AMD Virtualization」に対応するモデルを用意した。
AMD副社長のChris Cloran氏は,「市場で唯一のノート・パソコン向け64ビット版デュアルコア・プロセッサを初めて投入し,将来リリースされるWindows Vistaの64ビット版を動かすことが可能な,次世代ノート・パソコン・プラットフォームの波を推進する」と述べる。「会社や家庭市場を狙ったこの高度なノート・パソコン向けプロセッサは,優れたマルチタスク性能を持つデュアルコア処理,64ビット処理,長くなったバッテリ駆動時間と,無線,通信,グラフィックス分野の大手企業による最新技術を,1つのパッケージに収めた」(Cloran氏)。
「AMD Turion 64 X2」プロセッサ製品系列はDirect Connectアーキテクチャを採用し,演算コアとシステム・メモリー,I/Oバス間の高速接続によって,AMDのデスクトップ・パソコン向けプロセッサや各種LSIと同じく,Intel製プロセッサよりもはるかに優れた性能を出す。Intelはノート・パソコン向けデュアルコア・プロセッサを提供しているが,32ビット版であって64ビット版ではない。
AMDは5月23日,デスクトップ・パソコン向けプロセッサの最高速モデル「AMD Athlon 64 FX-62」「AMD Athlon 64 X2 5000+ dual processor」も発表した(関連記事)。両プロセッサは新型ソケット「Socket AM2」,高速DDR2メモリー,AMD Virtualization(開発コード名は「Pacifica」)対応となった。さらにAMDは,2006年遅くにリリースするサーバー向けプロセッサ「Opteron」の新版を,DDR2とAMD Virtualizationに対応させる。