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 米連邦地裁判事のJ. Frederick Motz氏はこのほど,米Go Computerが起こした米Microsoftによる1980年代終盤からの独占禁止法(独禁法)違反行為に対する訴えを,4年という出訴期限を理由に棄却した。この提訴の対象は,Microsoft会長のBill Gates氏がほかの企業にGoとの取引を思いとどまらせた,という20年間にわたる疑惑である。しかしGoの提訴は,かつて1990年代に会社を売却した共同創設者であるJerry Kaplan氏が,Goに代わって訴えを起こす権利を購入した後の,2005年になって行われた。

 訴訟を起こしたKaplan氏は,Microsoftの独禁法違反を追及しようと,ずっと意志を貫いてきた。多くのWindowsユーザーが,米IBM,米Netscape Communications,米Novellやその他企業に対するMicrosoftの違法な行動に慣れてしまった現在,Goの事例はあまれ知られていないが,問題は明確である。Goはペンを使うコンピューティング・プラットフォームを発明し,技術情報をMicrosoftと共有し,そしてほぼ潰されてしまった。Goによると,「Microsoftはリリース予定の全くないソフトウエア製品の発表を行い,公然と技術を盗み,Goに決してチャンスを与えないよう業界全体に圧力をかけた」としている。

 Goは2005年に提出した訴状のなかで,「MicrosoftはGoのパソコン用OSのことを,OS市場における独占的地位を危うくする深刻な脅威と見なし,Netscapeや米Sun MicrosystemsのJavaを独占への脅威と見なしたときと同じように,Goを抹殺する秘密工作を素早く実行した」と書いた。

 Microsoftは「この提訴は20年前の出来事で,何もメリットがない」と主張し,棄却を受けての勝利宣言をした。「この提訴は,Microsoftに対して起こすべきものではなかった。係争の早い段階で裁判所が棄却したことを,当社は歓迎している」(Microsoftの広報担当者)。ところがGoには,わずかながらMicrosoftに対する追及を続ける方法がある。カリフォルニア州の管轄にある係争は今も続いており,Motz判事は「過去4年間に被ったとみられる損害については,連邦裁判所に提訴できる」とした。

 Microsoftが米国の連邦政府とかつて繰り広げた独禁法違反の係争は,事実上すべて和解した。ただし,欧州委員会(EU)やNovellの「WordPerfect」に関する様々な独禁法違反の問題をいまだに抱えている。