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 米Time Warnerは,傘下企業AOLの苦境に陥ったインターネット接続サービスを止める代わりに,確実に同サービスを存続するための思い切った対策を実施した。Time Warnerは8月2日(米国時間),aol.comで提供している電子メール・アドレス・サービスを含め,AOLの全サービスを無料化すると発表したのだ(関連記事:AOLがブロードバンド向けサービスを無料化へ,セキュリティ・ツールを無償提供)。

 ピーク時には3000万人以上いたAOLの会員は,今は約1760万人に落ち込み,毎月減少が続いている。残った会員の多くは,10年前に主流だった低速なダイヤルアップ接続サービスに料金を払っている。現在はブロードバンド・インターネット接続が一般的で,ダイヤルアップからの移行が急速に進んだ。こうした傾向は,農村部でも変わらない。

 AOLの問題は,売り上げを維持しつつダイヤルアップ・インターネット接続サービスから軸足を外し,最終的には撤退するための,具体的な計画を作ることにあった。AOLの親会社であるTime Warnerが8月第1週に,「AOLはオンライン広告だけで収益を確保する」との計画を発表した。オンライン広告は,予想以上の利益を生み出す事業であることが既に証明されている。さらにAOLは,自社のインターネット接続サービスを推進することもやめ,AOLブランドの全サービスを無料化し,誰でもインターネット経由で利用できるようにする。

 AOLは,これまでも多くのコンテンツを無料で提供してきた。今回の発表は,有料サービスのなかで最も重要性の高いaol.comの電子メール・アカウントも含む,残っていた全サービスを無料化するという内容だった。この動きには,大きな意味が2つある。第一に,電子メール・サービスの利用をやめたAOL会員も,それまで使っていたaol.com電子メールのアカウントを維持できる。第二に,AOL会員以外も無料でアカウントを取得できる。

 既存の会員にも,新たな選択肢がいくつか用意される。現在AOL会員のほとんどは,ダイヤルアップ・インターネット接続に毎月25ドル以上の料金を払っている。この料金で,50Gバイトのオンライン・ストレージと,AOL独自のセキュリティ機能が利用できる。今後AOLは,追加機能が少ないものの10時間のインターネット接続が可能なダイヤルアップ用サービス・メニューを,年額9.99ドルで提供する。既存会員は,AOLのダイヤルアップ・サービスを完全にやめて,従来と同じオンライン機能を無料で利用することも可能だ。

 AOLの計画は撤退のようにみえる。しかし「AOLがどのような策を講じようとも,会員数の減少は止まらない」という現実があり,顧客にaol.comの電子メール・アドレスを使い続けてもらうことで,Time Warnerはユーザーと広告主の双方を満足させようとしている。