米Hewlett-Packard(HP)は米国時間9月12日に,同社会長のPatricia Dunn氏が2007年1月18日をもって会長職を退くことを明らかにした。その後,現CEO兼社長のMark Hurd氏が同職を兼任する。
HPは,情報漏えいを巡る調査で「プリテキスティング」と呼ぶ違法な手段を使ったとするスキャンダルが連日報道されており,その最中の9月11日と12日に取締役会を招集した(関連記事)。
プリテキスティングとは身元を偽って不正に通話記録などを入手する手口。2005年に当時同社CEO(最高経営責任者)だったCarly Fiorina氏の更迭に関する情報が流出した際と,今年1月にHP取締役会の長期戦略に関する議論の内容が流出した際に,情報源を追求する調査においてこの手法が使われたという。
HPは,1月の情報漏えいについて,取締役のGeorge Keyworth氏が情報源であることを特定し,5月に辞任を求めたが同氏はこれを拒否した。また,この調査方法に抗議したThomas Perkins氏が5月に取締役を辞任している。
Dunn氏は一連の事件について「内部者による機密情報漏えいの解決を取締役会が求め,それに応えるために行った重大な調査の結果として発生している。情報漏えいは当社のみならず,当社と取引のある企業の株価にも影響を与えた」と調査の重要性を強調した。また,「残念なことに,この調査は,サード・パーティが実施したものだが,不適切な手法が用いられており,我々が把握する範囲を逸脱していた。こうした手段が使われたことをおわびする」と付け加えた。
なおDunn氏は会長辞任後も取締役としてとどまる。
またHPは同日,Keyworth氏が取締役辞任を決意したことを明らかにした。同氏は情報源が自身であったことを認める一方,「私とほかの幹部のプライバシを侵害する調査は,へたな思いつきで,HPの価値にそぐわないことだった」と述べた。