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写真1●IDF初日の基調講演で語る米IntelのPaul Otellini社長兼CEO
 「今日は“中身の話”をしたい。シリコン・チップがどの方向に向かっているか,という話だ。コンピュータも人間も中身が重要だからね」。米IntelのPaul Otellini社長兼CEO(最高経営責任者)はこう切り出した(写真1)。

 Otellini社長はIntelが主催する「Intel Developer Forum(IDF)」の初日である米国時間9月26日,朝一番の基調講演に登壇。同社のプロセサ戦略の方向性について語った。

 講演で一貫して強調したのは,ここ数年のテーマである「Energy-Efficient Performance」,つまり消費電力当たりの性能の追求だ。「SPEED MATTERS AGAIN」と表示されたプレゼンテーション画面の前でOtellini氏は「プロセサの性能はもはや重要ではない,と一部で言われている。しかし検索をはじめとした高速なデータ処理,動画の閲覧や編集,ウイルス対策など,いま求められている処理は,プロセサの性能をフルに使う。再度,プロセサの性能に注目が集まっている」と述べる。

プロセサの「クアッドコア化」を開始

 Intelは処理性能の向上と,近年注目されている消費電力という2つの課題を解決することを狙い,プロセサのマルチコア化を進めている。2006年はサーバー,デスクトップ・パソコン,ノート・パソコンそれぞれのラインナップでデュアルコア(2つのコア)化を進めた。「2007年はいよいよクアッドコア(4つのコア)に突入する」(Otellini氏)。

 Otellini氏は2006年11月に2種類のクアッドコア・プロセサを投入すると発表した。ハイエンド・デスクトップ向けの「Core 2 Extreme QX6700(開発コード名はKentsfield)」,そしてサーバーおよびワークステーション向けの「Quad Core Xeon 5300(開発コード名はClovertown)」だ(関連記事)。Xeon 5300はプロセサを最大2個搭載するマシン向けの製品で,Intelの分類で「DP(デュアル・プロセサの略)」に属するもの。

 2007年第1四半期(1月~3月)にも同じく,デスクトップ向けとサーバー向けにそれぞれ投入する。デスクトップについては普及価格帯向けの「Core 2 Quad」。サーバーはXeon 5300の低消費電力版である。

 ハイエンド・デスクトップ向けのCore 2 Extreme QX6700は,先代のデュアルコア・プロセサ「Core 2 Extreme X6800」に比べて,70%性能を向上させたという。サーバー向けのXeon 5300は,シングル・コアのXeonに比べて4.5倍,6月末に発表したデュアルコアの「Xeon 5100」に比べて50%性能を向上させたとしている。

 Core 2 Extreme QX6700は,ゲームなど高速な処理を求めるユーザー向けの製品。基調講演ではゲストとして,ゲーム開発会社である米Remedy EntertainmentのFouder and ChairmanであるMarkus Maki氏が登壇。開発中のゲーム「Alan WAKE」のデモを見せた。「マルチコアの性能を生かして,日の出や竜巻,火の効果など,多様な自然現象のシミュレーションをリアルタイムに実行できる」と説明する(写真2)。

写真2●「Alan WAKE」のデモ画面。視点を変えつつ,リアルタイムに気象や時間帯をコントロールしているという

米AMDからの攻勢にじませる発言も

 「米Yahoo,米Google,(MSNを運営する)米Microsoft。いずれの企業もデータセンター設置の際には,電力料金が安い場所を選定するという。それほどに,サーバー分野では電力が大きな課題になっている」。Otellini氏がエンタープライズ分野の取り組みでまず話題として挙げたのは電力だった。ここで11月に投入するQUAD Core Xeon 5300を再度アピールした。「Xeon 5300は従来製品よりも性能を改善しつつも,消費電力を(従来製品と同レベルに)抑えることに成功した」(Otellini氏)。Xeon 5300の主流ラインナップの消費電力は80W。ブレード・サーバー向けなど,より低電力を指向したラインナップは50Wという(写真3)。先代のデュアルコアXeon 5100の消費電力は,主流ラインナップで65W(ハイエンドのモデルは80W),低電圧版で40Wである。

写真3●2006年11月に投入するクアッドコアのXeon 5300の消費電力は80W。2007年第1四半期に投入するXeon 5300の消費電力は50W

 サーバー分野で,Intelは米AMDの「Opteron」の攻勢を受けている。「Intelはサーバー市場でモメンタム(勢い)を失った,と言われている。しかし,市場で再びリーダーシップを発揮する」とOtellini氏は自信を見せつつも,発言の端々に米AMDから受けている攻勢の激しさをにじませていた。

2010年には32nmプロセス,ワット当たりの性能は300%向上

 そうした背景もあり,Intelは次のステップとして,現在の製造プロセスである65nm(ナノメートル)を45nmへと進化させる。45nmに基づくプロセサは2007年後半に投入予定だ。製造プロセスの高度化は,米AMDが後手に回っている領域である。Intelによると,45nmのプロセサは65nmと比較してリークが5分の1に減少し,トランジスタのスイッチング・スピードは20%向上するという(写真4)。

写真4●45nmの製造プロセスに移行することで,性能の向上が見込める

 インテルは45nmプロセサの生産に向けて2007年後半,米オレゴン州と米アリゾナ州のファブ(半導体の製造設備)を稼働させる。2008年にはイスラエルのファブを稼働させる。これら3つの拠点を立ち上げるための投資額は90億ドルという。

 Xeon 5100やCore 2 Duoなどで現在使われている,65nmのマイクロアーキテクチャの名称は「Core」。次世代の45nmに基づくマイクロアーキテクチャの名称は「NEHALEM」,さらに次の32nmに基づくマイクロアーキテクチャは「GESHER」という名称だ(写真5)。2010年に製品として登場するGESHERでは,「ワット当たりの性能が(現在に比べて)300%向上する」(Otellini氏)。

写真5●マイクロアーキテクチャの開発計画

 コア数の増加,そして製造プロセスの進化などで,「ムーアの法則を維持する」(Otellini氏)意向をあらためて示した。