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小京都の居酒屋でくつろいでみる

 取材をしているうちに,私も何かSL内で買いたくなった。「原宿」Tシャツを卒業するために着物を買うことにし,SLの広告一覧を検索した。すると,呉服店などが並ぶ「NAGAYA-Little Kyoto」(長屋-小京都)という場所が存在することが分かった。ここは人気の場所としてランクインもしている。

 到着すると,NAGAYAを製作した張本人,Randy Kamabokoさん(カマボコさん)に偶然出会うことができた。チャットで自己紹介すると,カマボコさんは日本人であることが判明。実世界では広島県で「美術・デザインの仕事」に携わる。カマボコさんに国際電話で話を聞くと,「海外の人に本当の日本の建築を見せたかったのが製作の理由」だという。

 確かに日本人ではない人がクリエイトした「和風」の建物は,どこか違う。それと比較するとNAGAYAは建物様式だけでなく,野良猫の鳴き声や居酒屋から聞こえてくる音楽まで,本格的だ。紅葉の美しい庭園では間もなく小雪が舞い始めるようになるという凝りようである(1ページ目の写真1)。


写真7 居酒屋「なが屋」でチャット中。一部のグラフィックスが欠けているのが残念
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 カマボコさんの紹介で,他にも2人の日本人にSL内で会うことができた。カマボコさんが「SL内で最も成功している日本人」と紹介するJDさんのアパレルショップはトラフィックの多い人気店の一つ。もう一人の日本人Rumi Simpson さんは,NAGAYAで「るみ雑貨店」を営む。JDさんは自作の猫女,Rumiさんは美しい着物を着ているようだが,システムの問題で画面上の絵がところどころ欠けているのが残念だ(写真7)。

 4人で居酒屋「なが屋」でチャットをしていると,本当に居酒屋でお酒を飲みながら取材しているような気持ちを味わえた。

Second Lifeは3次元のインターネット

 日本でもSLは流行するだろうか?日本語版の開発にボランティアで加わっているカマボコさんは「入りやすさはあるけれど,日本で人気のロール・プレイング・ゲームと違って与えられた筋立てはない。中でやりたいことを見つけられれば,日本人も長く楽しめるのではないか」と考える。

 SLとは一言で「3次元のインターネット」だとJDさんは話す。今となっては,インターネットなくして昔はどうやって仕事をしていたのかと自分でも不思議に思うことがしばしばあるが,SLもいずれ生活の一部になるのだろうか。

 最後にNAGAYAの商店街を一人散策していると,向こうから2人の女性が歩いてきた。会話を聞くと仲良くショッピングを楽しんでいる。私もなかなか会う機会のない日本に住む友人とSL内で一緒にショッピングやスカイダイビングをしたいな,と思った。SLでのクラッシュを防ぐためにも,パソコンをアップグレードしよう。

筆者紹介:影木准子 フリージャーナリスト
かげきのりこ。1989年北海道大学工学部応用物理学科卒業後,日本経済新聞社入社。科学技術部などを経て,97年から2001年まで同社シリコンバレー支局記者。2002年に同社を退社し,現在はシリコンバレー在住のフリージャーナリスト。米国のハイテク業界への取材を得意としている。