目野さんが勤務するマイクロソフト大阪営業所は、大阪市福島区にある。憧れの人との再開に遅れてはならぬと早めの電車に乗ったら、1時間も前に現地に着いてしまった。滅多に訪れない大阪なので、昼食に大阪らしいものを食べようと思って、駅前の定食屋さんに入る。あれこれ迷って、結局「カツ煮&かやくごはんセット」なるものを食べたが、これって大阪名物なんだろうか? 知っている人がいたら教えてほしい。味に関しては、大満足だった。

 さて、いよいよ目野さんと1年ぶりの再会だ。1時間の取材時間の中で、何を聞くかは、大筋まとめてある。「ITバブルは、これからだ!」と言える目野さんの元気の源が何であるかを知りたい。マイクロソフト大阪営業所は、駅前の大きなビルの中にある。受付嬢さんに案内されて打ち合わせ室に入る。しばらく待っていると、目野さん登場。「お久しぶりです。今日は、お忙しいところありがとうございます!」あいさつする声が、緊張でやや震えてしまった。

 いろいろなことを質問して感じたのは、目野さんが物事を冷静に見つめていることだ。「ITバブルは、これからだ!」とは、身の回りを冷静に見渡せば、まだまだIT化すべき事が沢山あるという意味だ。さらに、「欲望を創造せよ」という言葉もいただいた。これは、すごい。実にパワフルな言葉だ。ITエンジニアの多くは、お客様の要望を分析し「何にお困りですか」からシステムを構築している。目野さんは、それだけでなく「こういうことがしたいでしょう」という欲望をITエンジニアが創り出せと言っているのだ。身近な例として、カメラ付の携帯電話をあげてくれた。誰がカメラと携帯電話を一緒にしようと思いついたのかは知らないが、「撮った写真をすぐ誰かに送りたい」という欲望を創造したのだ。

 目野さんは、「これからは知識ではなく知恵の時代だ」とも言っていた。ハードもソフトも容易に入手できる現代、それらをどう活用するかに知恵を絞るべきなのだ。知恵の例として、子供の頃に、石ころや木屑を車に見立てて遊んでいたことをあげてくれた。つまり、今目の前にあるものをよ~く見て、どう使えば便利で楽しいかを考え出すのだ。「知識なんかいつでも充電できるのだから、知恵を絞って欲望を創造せよ」実に元気が出る言葉だ。新しい技術をマスターすることばかりに時間を割いているITエンジニアがいるが、ナンセンスだ。そんなことに重点を置く必要なんかない。十分に普及した当たり前の技術を組み合わせればいいのだ。こう思えば、ちょっと疲れて落ち込んでいるITエンジニアも元気を回復してくれるだろう。

 「ニーズよりゴールを考えろ!」「ビジネスなんて難しく考えるな。顧客のために何かをして代償をもらうだけのことだ!」「コンピュータは、ただの道具に過ぎない。主役は、あくまでも人間だ!」「顧客の身になって考えろ。同じ人間なのだからできるはずだ」「アイディアに貪欲になれ。10年先を予測して絵に描いてみろ!」低く冷静な声で語る目野さんの言葉は、どれも納得することばかりだった。

 目野さんのマインドは、ご先祖様のDNAを受け継ぎ、幼い頃からの様々な経験に基づいて形成されたものだから、それを簡単に真似するわけにはいかない。しかし、少しでも目野さんに近づきたい。目野さんのように、冷静で元気なITエンジニアになりたい。そこで、普段どんなことを心がけて仕事をしているのかと聞いてみた。目野さんは、何よりも人と人との触れ合いを大切にしているそうだ。様々な分野の専門家と触れ合うことで、知識を充電している。仕事仲間と触れ合うことで、知恵を絞って新しいアイディアを生み出している。そして、プライベートでは、高校時代の友人と異業種交流することで、リフレッシュしているそうだ。

 100%真似することはできないが、目野さんと1時間びっちりお話させていただいたことで、自分の中で眠っていた何かが目を覚ましたように感じだ。この感動を若いITエンジニアにも伝えたいと思い、目野さんの許可を得て、仙台のイベントで話された大福帳のネタを、新人向けの講演会で何度も使わせていただいている。ご希望あれば、このWebページに掲載しましょう。