古くはIP電話ブームのきっかけとなった「東京ガス・IP電話」から、最近の「閉域モバイル網+SIMフリー端末」によるイントラネット構築まで、企業ネットワークをリードしてきた筆者の実用主義のコラムです。評論ではなく、実践に基づく有用な情報をお届けします。
間違いだらけのネットワーク作り
目次
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ネットワークエンジニアは死なない
先日、久しぶりに八重洲ブックセンター(東京・中央)に行った。5階の理工学書売場にネットワーク関係の書籍がある。2000 年頃の最盛期にはネットワーク関係の書籍は大きな書棚が4つか5つ並んでいたものだ。今では書棚半分ほどである。ネットワークの世界は縮んでしまい、それを仕事とするネットワークエンジニア…
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悩ましい中高層オフィスビルの携帯電波対策
先日、高層ビルのオフィスでモバイルシフト(モバイル回線主体で企業ネットワークを構築すること)について、X社の担当者と意見交換をした。4月に入ってから携帯電話がつながりにくくなり、NTTドコモが急きょ対策を打ったという。今回は多数のユーザーが集中する大規模オフィスでの電波不足の対策について述べる。
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ビジネスチャットは本当に有効か
最近、「ビジネスチャット」という言葉をよく目にするようになった。LINEのようなチャットツールを企業でも活用して、コミュニケーションの活性化や情報共有による生産性向上を狙おうと言うのだ。ビジネスチャットは本当に有効なのだろうか。
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プレゼンの満足度はこれで上がる
セミナーのプレゼンテーションは提案書のプレゼンと違って、単に伝えたい内容が聞き手に伝わればいいというものではない。「楽しい」「共感できる」といったエンターテインメントの要素がないと40分、時には120分という長時間のセミナーを飽きさせずに聞いてもらうことはできないし、満足度も高まらない。
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コスト削減にならない「クラウドPBX」の上手な使い方
企業のICTはクラウドシフトがどんどん進んでいる。企業ネットワークの分野では「クラウドPBX」が数年前に登場した。どう活用すれば企業はメリットが得られるのだろうか。
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SD-WANが本領を発揮すべきは企業ネットの「多目的化」
最近、SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)という用語を目にすることが多くなった。ソフトウエアでネットワークの構成や設定を動的に集中制御するSDNを広域ネットワークに適用するもの。現在、SD-WANの機器/サービスを提供するベンダーや通信事業者がうたっ…
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2017年、「モバイルシフト」と「クラウドシフト」が企業ネットを襲う
2017年の企業ネットワークのトレンドは「モバイルシフト」と「クラウドシフト」である。このうちモバイルシフトとは光ファイバーを使った固定通信中心のネットワークからモバイル主体のネットワークへ移行することだ。また、企業のクラウド接続へのニーズは2017年にますます強まる。
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企業ネットを「3つのグラフ」で進化させる
企業ネットワークの歴史は、技術革新と新しい回線サービスによるコスト削減と速度向上の歴史だったと言える。東海道新幹線は速度が上がる度に料金が高くなったが、ネットワークは1990年代と比較してスピードが2桁速くなって料金は逆に1桁安くなった。
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Office 365で「ひずむ」企業ネットワーク
Office 365の普及のスピードには驚かされる。訪問する企業のほとんどが採用しているからだ。数年前は「ワークスタイルの変革のため」などという格好いい目的でOffice 365を導入した事例が紹介された。しかし、導入企業に本音を聞くと「安くなるから」という声が多かった。
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効果的なユニファイドコミュニケーションはAPIで
ある調査会社の統計によると、PBXやユニファイドコミュニケーション(UC)を合わせた国内音声系の2015年度の売り上げは約1800億円だったという。そのうち従来型のPBXやボタン電話の売り上げが90%近くを占め、UCは10%程度にすぎない。
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どこまでやればセキュリティ対策は「合格点」?
企業の経営者にとって、セキュリティ対策をどこまでやれば合格点なのかは重大な関心事である。先日、筆者のプロジェクトでセキュリティ対策の提案書のレビューを行った。筆者は冒頭でセキュリティ専門のSEに尋ねた。「この業態、この規模の会社だと、何をどこまでやって、費用はどの程度かければいいの?」。のっけから…
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企業が使える「格安スマホ」を選ぶ
大企業でなくてもサービスや製品の選択と組み合わせを工夫すれば安価な費用で利便性の高いコミュニケーション&コンピューティング環境を手に入れることができる。そのために優れたセキュアモバイル網の選択と並んで大事なのが企業で使える格安スマホを選ぶことだ。
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熊本地震で威力を発揮した「スマホ内線」
熊本地震の発生から3カ月たった。熊本県には筆者が運用している複数の全国規模ネットワークの拠点がある。回線の切断はなかったが、拠点の通信が可能でも役に立たなかった。役に立ったのはセキュアモバイル網(インターネットに接続されていないモバイルパケット網)によるスマホ内線だ。
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セキュアモバイル中心の設計で企業ネットが面白い!
企業ネットワークは2000年頃から、広域イーサネットやIP-VPNを基幹にして足回りはフレッツ、というのが定型パターンになり、つまらなくなっていた。しかし、インターネットと切り離されたモバイル網である「セキュアモバイル」をベースにすることで企業ネットの設計はとても面白いものになった。
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消費者庁はNGNでテレワークしたらどうか
NGN、Next Generation Networkとはなつかしい言葉である。今から10年前の2006〜2007年頃には期待感と懐疑感の両方を持ちながらNGNの勉強もしたし、セミナーで語ったりもしたものだ。そして、2008年3月にNTT東西がサービス開始。それから8年が経過したが、NGNという言…
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「VAIO Phone Biz」に見るスマホのパソコン化
スマートフォンのパソコン化が進んでいる。プロジェクターを接続できるスマホなら、パソコンがなくてもPowerPointの映写ができるし編集もできる。筆者はiPhone 6のユーザーだが、外出時にパソコンを持つことはなくなり、PowerPointもWORDもiPhoneで使っている。外出時にスマホをパ…
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iPad miniを電話として使う際の「壁」
ある企業でiPhoneを営業マンの生産性向上のために導入しようとトライアルをした。その結果、目的の業務をするうえでiPhoneよりも画面の大きいiPad miniのほうが良いということになった。iPhoneはもともと電話機であるから、090番号などで携帯電話を使えるし、ソフトフォンを搭載してスマホ…
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理想の閉域モバイルサービスとは? KDDIとNTTの比較で考える
先月のこのコラムで企業ネットワークはモバイルシフトすべきだと述べた。その際、要となるのが閉域モバイルサービスとして何を使うかだ。今回はイントラネットでの利用に優れているKDDIのCPAとNTTコムのArcstar Universal Oneモバイルを概観し、課題を明らかにする。
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2016年、企業ネットは「モバイルシフト」せよ
モバイルはLTEの普及とMVNOの広がりで、高速・高品質で安価になった。企業はコストを抑えながらモバイルをふんだんに使えるようになったのである。これからの企業ネットワークは「モバイルシフト」を積極的に進めることで経済性と利便性を向上できる。
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FaceTimeからLINE電話に代えて分ったこと
今年の春まで、家族6人ともiPhoneユーザーだった。離れて暮らす家族同士でFaceTimeをけっこうよく使っていた。ところが、妻がiPhoneを解約し、安いSIMフリースマートフォン(データ専用)とソフトバンクのフィーチャーフォン(電話専用)に代えたため事情が変わった。AndroidなのでFac…