PR

 顧客を作り,お得意様として育てていきたい。できれば生涯のお得意様にまで関係を深めていきたい。このことは企業にとって切なる願いです。

 ITの進歩は顧客の特定を可能にし,その結果顧客は個客になりました。個客の育成こそが継続した売り上げアップにつながる唯一の方法ということが理解され始め,企業は顧客の創造・育成を重要課題として取り組み始めました。

 けれども現実には,顧客を創造し育成することは,なかなか実現できていません。スローガンやキャッチフレーズ,キーワードとしての顧客第一主義や顧客創造・育成は,のぼり旗のように乱立してます。CRMパッケージを入れれば顧客創造・育成ができると信じられ,導入がブームになりましたが,CRMパッケージを入れても売り上げは伸びていません。導入の目的を,うたい文句の「LTV(顧客生涯価値)最大化」に置く限り壊滅状態です。

 この連載では,我が社がコンサルティングの現場で実践してきた顧客創造と育成のための方法論を解説していきます。

売り上げが3倍に

 ある大手旅行業では,対象顧客の旅行参加率が約3倍になり,かつ残業時間が1割に減少しました。ある大手ハウスメーカーの支店では,半年で顧客紹介件数が日本1になりました。住宅展示場での半年間の売り上げよりも大きな金額でした。

 ある有名外国自動車メーカー日本法人の販売会社では,営業ツールに掲載した車種の売り上げが翌月から約3倍近くまで跳ね上がり,それは半年後の今でも継続しています。

 農業機器・資材をフランチャイズで展開するある企業は,契約率が前年度対比150%に増加しました。ある百貨店のワイン売場では売り上げが前年対比140%となりました。

 なぜ顧客を作り,育てることができたのか。それは,従来のCRMやSFAが営業プロセスを数値化し,可視化することにとどまっているのに対し,我々はそのデータを駆使してシナリオを作成し,契約率を向上するための行動をとったからです。

 従来のCRMはRFM分析(最新購買日,購買頻度,購買金額による分析)などで抽出した上位顧客にだけ,場当たり的なDMを出すことしかできません。我々は顧客育成シナリオをシステムに搭載してアクションを起こすべき対象とタイミングの決定を自動化し,育成するべき顧客を特定して関係深化シナリオ,販売促進シナリオに基づいた行動をとったからです。

 私は,そして我が社は,徹底的な現場主義を貫いています。問題も答えもすべて現場にあるという考え方です。「現場百篇」を繰り返しながら,我々は方法論を練り上げてきました。この方法論とシステムを「BREALOGIC」と呼んでいます。

 次回以降,さまざまな実例をあげながら,現在のCRMの問題点と,それを克服し,顧客を創造し育成する,あるいは契約率を高めるための手法を具体的に解説していきます。