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石川英樹さん(右)と筆者(左)
石川英樹さん(右)と筆者(左)
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 石川英樹さん(株式会社アイテック 教育開発部 部長)とは、かれこれ7年ほどのお付き合いになる。石川さんは、背が高くて声が低く、とてもスマートでクールな人だ。アイテックで教材開発をされていて、情報処理技術者試験の対策本を数多く執筆されている。一時、情報処理技術者試験の問題用紙の持ち帰りが禁止(公開もなし)されたときには、出題傾向の研究のため毎回受験されていたそうだ。「今回も、なんとか全問できたよ」とさりげなく言う。カッコイイ! 企業の教育担当者と講師を対象とした勉強では、長年に渡って過去問題を研究し尽くした成果を惜しみなく発表してくれる。「私の目から見れば、ほとんど同じような問題が繰り返し出題されているだけです」と言う。またまたカッコイイ!

 このごろIT業界を希望する若者が減っているようだ。キツイ仕事だとわかってしまったからかもしれないし、一部の億万長者のやり方が悪いイメージを与えているからかもしれない。そのため、IT企業は、人材募集にとても苦労している。コンピュータに関する勉強をしてこなかった学生を、しかたなく採用している企業もあるようだ。やる気があれば大丈夫と言えなくもないが、コンピュータに興味がないのではいずれ挫折してしまうだろうと心配にもなる。

 私は、IT企業の新人研修で講師を務めるとき、受講者に「学生時代に、授業でも趣味でもプログラミングを経験したことがある人は、手を挙げてください」と尋ねる。驚くなかれ、半数ぐらいしか手が挙がらないIT企業がある。そんな状況だから、新人研修の一環として受験させる情報処理技術者試験(試験区分は、主に基本情報技術者試験)の合格率は、かなり低いものとなる。受験対策講座を受けていながら、入社後の最初の課題でありながら、20%~40%程度の合格率なのだ。日本のIT業界の未来が不安になる。

 医師免許の国家試験の合格率を調べてみた。なんと、85%程度である。医師免許は資格試験であり、それがないと仕事ができないから受験する人も必死だろう。それに対して、情報処理技術者試験は、国家試験とは言え、認定試験にすぎない。合格しなくても、仕事ができないことはない。だから、必死になれないのだろうか。入社数年たっても合格できないでいる人は、「仕事が忙しくて勉強時間が割けなかった」と言い訳する。そもそも、きちんとした知識を持っていないから、仕事に時間がかかるのではないか! と反論したいが、講師の立場では言い難いことである。「講師の教え方が悪い」と言い返されてしまうだろう。同じ講師に教わって合格した人もいるぞ! と反論したら、「他の講師は、もっと多くの人を合格させている」と言い返されてしまうだろう。ああ、やっぱり講師にも大きな責任があるのだ。私もガンバルから、受験者はもっともっとガンバってほしい。受験者がどんな心がまえで勉強すればいいか、石川さんに教えてもらおう。

矢沢:情報処理技術者試験には、様々な試験区分がありますが、SEが受験するならどれがいいですか?
石川:ソフトウエア開発技術者試験(かつての第一種情報処理技術者試験に相当する)でしょう。難しい試験だと言われていますが、すこし根を詰めて勉強すれば、必ず合格できるはずです。
矢沢:とは言え、忙しいSEが勉強時間を割くのは難しいですよね?
石川:確かにそうですが、忙しい人ほどメールの返信が早いように、忙しい人ほど短い時間を有効に使って勉強するのが上手いはずです。教材を章ごとに小さく切り離して持ち歩き、通勤電車の中や休憩時間などに5分でもいいから勉強しましょう。
矢沢:勉強方法には、何かコツがありますか?
石川:私の勉強方法は、同じ教材で何度も学習します。分からないことにぶつかっても、とりあえず先に進む。しばらくして、分からないところに戻って読み直すと理解できる場合がよくあります。これを本がボロボロになるまで繰り返してください。
矢沢:自分が納得できるまで勉強するのですね。そんな厳しい勉強方法から逃げ出したくなったらどうしましょう?
石川:逃げたいという気持ちは、よくわかります。試験が近くなると、なぜか急に家事の手伝や旅行など、普段しないようなこをとしたくなるものです。それは、試験を意識している証拠ですから、いいことだと思ってください。無事に合格したら、好きなだけ家事や旅行をしましょう(笑い)。
矢沢:あはは。石川さんは、講師の経験も豊富ですよね。受験者を勉強する気にさせる殺し文句があったら教えてください。
石川:「これで最後にしよう」です。何度でも受験できると考えて、中途半端に勉強したのでは合格できません。これでキリを付けるのだと自分に言い聞かせて、徹底的に集中して勉強するのです。
矢沢:「認定試験に受かっても意味がない」と思って、意欲を失ったらどうしましょう?
石川:SEは、お客様に安心感を与えなければなりません。試験に合格することが、安心感を与える武器の1つとなります。SEなら、さっさとソフトウエア開発技術者試験に合格してください。それによって、さらに上を目指すこともできます。システムアナリストやプロジェクトマネージャなどの試験内容は、ソフトウエア開発技術者試験と同レベル+論文です。論文は、SEとして過去に経験した事例を、視点を変えて(試験問題に示された立場に合わせて)書けば通ります。同じ事例を使いまわしできます。様々な事例を持つSEには、高度な試験に合格できるチャンスがあるのです。受けないなんてもったいない。

 なるほど! さすが石川さんだ。インタビューを受けた自分も、もっと上の試験を受ける意欲がわいてきた。でも、ちょっと仕事が忙しいからなぁ...あっ! 受験者の立場になったら、ついつい自分も言い訳をしてしまった。「きちんとした知識を持っていないから、仕事に時間がかかるのではないか!」と自分で自分を叱ることにしよう。