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 本コラムではWebの世界のオープン・スタンダードについて解説していますが,今回は,そもそもオープン・スタンダードとは何かについて解説しましょう。

プロセスも内容もオープンな「オープン・スタンダード」

 「オープン」という言葉は,一般的に「公開されていて利用に制限がない」といった意味で使用されています。Web の世界のオープン・スタンダードについて正式な定義が存在するわけではありませんが,おおよそこのような意味で間違いはないと思います。ITの世界ではしばしば,ベンダー固有の仕様を示す「プロプライエタリ(proprietary)」の対義語としても使われています。

 オープンという言葉のイメージは実に魅力的です。ですからソフトウエア・ベンダーは,自社で開発した仕様にオープンという冠言葉を付けたがります。そこには「オープン・スタンダード・マーケティング」とでも呼ぶべきベンダー間の“葛藤”が存在するのですが,その実体は次回に書きます。

 このコラムでは,次のように開発され利用されている標準をオープン・スタンダードと呼ぼうと考えています。特徴は大きく4つあります。

(1)一般に非営利会員制の標準化団体で,会員によって制定され公開された「標準化プロセス」に基づいて開発・保守・拡張されている
 W3C(注1),OASIS(注2),IETF(注3)などの標準化団体で開発される標準は,オープン・スタンダードと呼んで良いでしょう。いずれの団体も,明快な標準化プロセスが公開され,そのプロセスに従って標準が開発・保守・拡張されています。

(2)開発中の草案仕様も含めて,誰でも読み,利用できる
 前出の標準化団体では,開発中の草案仕様も含めて,すべての仕様を常にWebサイトに掲載して誰でも目を通し,要所で意見を述べ,誰でも自由に利用することできるようにしています。

(3)特定のベンダーやプラットフォームに依存せずに利用できる
 オープン・スタンダードは,様々なプラットフォーム上で動作し,異なるベンダーが提供するコンピュータ・システム上で利用可能です。特定の環境でのみ利用できる標準は,オープン・スタンダードとは言えません。さらに,各ベンダーが提供するソフトウエアが,該当するオープン・スタンダードに準拠しているかどうかを検査する認証サービスを提供している標準化団体もあります。

(4)利用する際に,ロイヤリティや利用料を支払う必要がない
 これはオープン・スタンダードの最も重要な部分です。理想的には無償で使用可能なのですが,一部の標準化団体では,仕様中に含まれるベンダー特許の利用に関して,「合理的かつ非差別的条件」でロイヤリティを徴収することができるとしています。この部分は,いつも大議論となるところです。

 さて次回は,このようにして開発・保守・維持されているオープン・スタンダードに関するベンダーの“葛藤”について論じましょう。


(注1)World Wide Web Consortium: 1994年に発足したWWWで利用される標準を開発する非営利の標準化団体。WWWに関係する企業、大学、研究所、個人が会員となっている。http://www.w3.org/

(注2)Organization for the Advancement of Structured Information Standards:eビジネスのための構造化標準を開発・統合・推進する非営利会員性の国際標準化組織。http://www.oasis-open.org/

(注3)Internet Engineering Task Force:インターネットで利用される技術を標準化する組織。ここで策定された技術仕様はRFC(Request for Comment)として公表される。http://www.ietf.org/