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 日本発の文明と文化の創造で先端を走っているものが2つある。TronとPlayStationだ。

 Tron OSは,幅広い応用分野で大量に使われ続けている。携帯電話を含めたWireless分野での戦いに勝利すれば,今後も文化として生き残るだろう。その一方で,Tronプロセッサは採用した命令セット・アーキテクチャが古すぎたため,そのほとんどが成功せず,文明として生き残れなかった。

 その反省もあってか,日立製作所のSHシリーズなどの32ビット・マイクロプロセッサは,簡単な命令セットだけを搭載するRISC型命令セット・アーキテクチャ(Reduced Instruction Set Computer:縮小化命令)を採用しながらも,いくつかの工夫を凝らしている。一つは,プログラム用メモリー容量の大幅削減に効果のある16ビット長の命令セットを導入したこと。もう一つは,CISC(Complex Instruction Set Computer:複雑な命令セット)型命令セット・アーキテクチャの長所を取り込んだことである。CISCは複雑な命令セットと言われているが,実際はいくつかの命令を有効に組み合わせた複合化命令を持つ命令セットという意味合いが強い。

 SHマイクロプロセッサは,登場してから14年ほどたつが,広範囲にわたって使われている。創造的に開発されたSHマイクロプロセッサは文明として生き残るだろう。

 会津大学で教えていたころ,Javaプロセッサの研究のため,修士学生にJust-In-Time-Compilerを開発させたことがある。このときは,MIPS3000命令セットとSH3命令セットの2種類の命令セットについてJust-In-Time-Compilerを完成させた。性能においても,必要なメモリー容量においても,SH3マイクロプロセッサのほうが優れていることを,学生が興奮して説明してくれた。私は授業や卒論を通して命令方式や命令セットを教えたが,それらの重要性を認識させるには現実のプロジェクトを通して実感させるのが最も良い方法であった(次回に続く)。