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林@アイ・ティ・イノベーション代表です。こんにちは。

 本屋に立ち寄ると,マネジャ向けの書籍が山のように積んであります。マネジャはどのように振舞えばよいか。マネジャにはどんなスキルが必要か。このような「ハウツー」を説いた書籍は数多く存在しますが,マネジャの原点や本質について語ったものは少ない印象があります。

 今回は,マネジャという仕事の本質について,立ち返って考えてみましょう。

 マネジャの役割は,それぞれ固有の意見や考えを持った人たちの間に立って物事を進め,ビジョンや目標を実現していくことにあります。多くの人たちの間で何かを進めようとすれば,次の二つが大切です。一つは「信頼」であり,もう一つは「コミュニケーション」です。

 私は部下であるマネジャに,「あなたの部下から信頼される人になってほしい」と言っています。口で言うのは簡単ですが,実際にそのような人になるのはなかなか大変なことです。まさか部下に「上司である俺を信頼しろ!」と命令するわけにもいかないでしょう。

 とはいえ,“糸口”はあります。私はその糸口は,周りから信頼される行動を取ることだと思います。相談に乗って解決策を共に考える,トラブルをフォローする,といった行動を積み重ねることで,徐々に周囲からの信頼感を得ることができます。

 無意識にこのような行動が取れるようになった人は,「信頼される人」になります。「信頼される人」と「信頼に応える人」の関係が,良い上司と良い部下の関係と言えるでしょう。

 上司・部下の関係は,まずは人と人との対等な関係から出発します。たまたま,いま所属する組織において,上司・部下という関係にあるだけです。意外にも,これを理解できていない人が数多くいます。信頼関係の醸成は,つねに相手が“ボール”を握っていることを心に留めていただきたいと思います。

 もう一つの「コミュニケーション」で重要なことは,部下の言っていることの意味や真意をしっかり聞くことだと考えています。

 私はコンサルタントを業としていることから,数年前まで話すこと・説得することに比重を高く置いてきました。しかし最近は「聞くこと」の大切さを痛感しています。マネジャについても同様で,コミュニケーションする際には「聞くこと」に重点を置くべきでしょう。私の感覚としては,70%~80%の比重を聞く方に置くのがベストだと思います。

 会社組織は事業の遂行という機能を重視して作られています。ですが時には「信頼とコミュニケーションの基盤」という“ソフトな機能”を点検することが必要です。この機能が厳然とあってこそ,複雑なマネジメントが可能になります。

 それでは,また。

【この記事はプロマネのポータルサイト「ザ・プロジェクトマネジャーズ」との連携コンテンツです】