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 SFAの世界では「営業プロセスの可視化」がブームになっている。営業プロセスはこれまではブラックボックスになっていた。営業活動は個人の暗黙知となっていて企業の形式知にはならないものとされていた。それがITを使えば、(営業マンがアンケートを答えるように行動記録を画面に入れていけば)、そのまま集計され営業マンの行動は数値化される。

 数値化できれば可視化できる。ブラックボックスにあった営業プロセスがITを使うことによって可視化できるようになったことは大きな進歩である。

 これまで営業活動が数値化されないことに業を煮やしていた経営者はこれで営業改革ができると喜んだものである。

 しかし、数値化された営業活動がどのように使われているかを見ると、その大部分は上司が営業マンに対して行う厳しい行動管理である。標語としては販売生産性の向上であるが、営業マン行動管理体制の強化が正しい。

 例えば某社では本当に電話をしたか客観的管理体制を敷くためにIP電話に入れ替え、システム的にログをとって検証しているし、別の某社では訪問先企業に営業マンが本日の商談内容を記載した面接商談証明書を提出し、顧客がサインをすることで初めて顧客と会ったことが証明されるようにしている。

 別の某社では1分単位で日報を記載することを指示して、営業マンの行動を精緻に管理している。

 不良営業マンしか居ないような企業では、例えば会社を出ると喫茶店に直行し、挙句の果てはパチンコ店で時間を費やしているような営業マンばかりの企業であれば、行動管理は効果的だが、こうしたことが営業改革なのかは疑問が残る。

 営業プロセスが可視化できて、行動管理をすれば売り上げが伸び、顧客育成ができると信じているのであればそれは誤りである。データベースマーケティングの例で紐どいてみよう。

 データベースを分析すればさまざまなことがわかる。営業プロセスの「見える化」なら、こちらはデータ分析することによって「分かる化」が促進される。

 しかし「分かる化」が促進されても売り上げは伸びない。顧客創造も、顧客育成も実現できないのである。

 小売流通業ではデータを分析することによって捕捉出来る「優良顧客」に集中して販促予算を投下する。しかし優良顧客とは分析するために顧客をセグメント化した一セルにつけた名称であって、顧客そのものに付けた名称ではない。

 顧客は購入し続けない。たくさん購入すればしばらくは買わない。買わないと優良顧客と名付けたセルから顧客は脱落するように映る。企業はその顧客は優良顧客セルから脱落したから優良顧客ではないと判断して販促費用の投下対象から外す。

 データベースマーケティングで活用するRFM(Recency, Frequency, Monetary)分析やABC分析は、優良顧客を抽出する手法ではなく、リレーションシップ成果評価表として使用することが正しいのだ。