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 そもそもRFM分析は1930年代に米国の通販業界が考案した通販カタログを送付しない顧客を見つける手法であった。

(Recency)最近購入していない人にはカタログを送らない。
(Frequency)購入頻度の低い顧客にはカタログを送らない。
(Monetary)購入金額の低い人にはカタログは送らない。

 この三つの基準値としてRFM分析は考案されたのである。

 通販カタログを送らない、言い換えれば関係切断の対象を見つけるための分析手法であるから、いまでも見事に顧客と関係を切断することをやってのけている。

 RFM分析でもABC分析でも、いずれも過去特定日における状況をタイムスライスして見せているに過ぎない。優良顧客はセルに付けた名前で個客に付けた名前ではないから、セルから外れれば優良顧客扱いしないようになる。その顧客が何と当社にとって最重要な顧客であっても関係切断をすることになる。これで顧客育成ができるはずがない。こうしたタイムスライスデータで顧客を識別するのは、間違っていることに気づかなければいけない。

 分かりやすい話をしよう。

 ある高級店で極めて優良顧客がいた。しかしこの顧客は海外に転居し数年間利用が絶えた。海外の住所にDMを送っていたがやがてRFM値が下がりDMも年賀状も送らなくなった。

 この顧客は日本に戻ってひさしぶりに来店した。しかしお店のデータではRFM分析でもでてこない、つまり顧客でもなんでもない人となっていた。古いデータを見ると離脱客、切り捨て客となっていた。果たしてお店はデータのみで対処するだろうか。するはずがない。海外に暮らして年賀状や暑中見舞い、時には日本の菓子など顧客のお好みを贈答していただろうし、関係を促進していたはずである。

 データだけで顧客を識別するのは間違いであるという事例である。