田中克己の針路IT
目次
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富士通がアウトソーシング事業を年率10%超で伸ばしたいわけ
富士通の国内アウトソーシング事業が数年以内に1兆円規模に達する勢いで成長している。同事業の売り上げは06年度の4600億円から07年度に5100億円、08年度に6000億円を見込んでいるが、サービスビジネス本部長の阿部孝明常務理事は08年3月上旬、「アウトソーシングは、富士通が一番伸ばすべき分野で…
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発注者が仕切れる能力を持つことのススメ
「ハードやソフトの調達を含めて、IT部門が仕切れるよう支援していく」。ウルシステムズの漆原茂社長は、アウトソーシングからインハウスに切り替えるIT部門をサポートすることに力を注ぐ考えだ。
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黒船の大砲がソフト業界に構造改革を迫る
「自動車のような産業構造に再編すべきだ」。NTTデータの山下徹社長はインドや中国など海外ソフト会社が日本市場に本格進出してくる前に、ソフト産業の構造改革を実行する必要性を説く。日本のソフト産業が崩壊の危機にあるからだ。
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売り上げ成長計画を慎重に見る大塚商会社長の真意
「社内的には狙うが、5%をコミットするのは厳しい。少しコンサバに見ているが、同業他社の状況に加えて、1月から(IT投資に)ユーザーが慎重になっている。決裁も部長から役員、社長になり期間が延びてきており、3月までは気を引き締める」。システム販売大手、大塚商会の大塚裕司社長は08年2月5日に開いた07…
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「プライム比率を高め、業界上位に食い込む」、キヤノンSOLの武井社長
「プライム比率を高めるとともに、(業種別ソリューションの)SIコアを増やす」。08年4月に中堅ソフト会社アルゴ21と経営統合するキヤノンシステムソリューションズ(SOL)の武井尭社長は、システム構築事業における生産性を高めていく策をこう話す。大手ITベンダーの下請け的な立場から脱却し、伍して戦える…
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“癒し本部”を設置した中堅ソフト会社の考え
社員520人(平均年齢32.7歳)を擁する中堅ソフト会社のユー・エス・イー(USE、東京都渋谷区)に、「癒し本部お祭りか」というユニークな部署がある。同本部長も務める創業者の吉弘京子代表取締役副社長によれば、「若い社員が悩んだら、すぐに相談できるようにするコミュニケーション作り」がその役割だという…
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製造業向けソフトを世界標準に仕立てる
「日本のIT産業は、内需があったことが不幸だった」。CADソフトなどを展開するデジタルプロセスの間瀬俊明社長は、国内に安住してグローバル展開を考えられなかったIT産業の問題を指摘する。しかも、日本ユーザーの要求に応えた結果、グローバルスタンダードから離れてしまった。ITベンダーだけではなく、ユーザ…
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テクノロジーを忘れた日本のITベンダーの行く末
「テクノロジーの力を再認識することだ」。IT調査会社ガートナージャパンでバイスプレジデントを務める亦賀忠明氏は、日本のITベンダーが危機的な状況を陥ったのはテクノロジー軽視にあると指摘する。「グローバルで何が起こっているのか」を知らないITベンダーが多いことにショックを覚えるとともに、それが営業利…
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SaaS市場に本格参入する会計ソフトPCAの戦略
有力パッケージ・ソフトベンダーがSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)市場に本格参入することはこれまで少なかった。ライセンス収入+保守というビジネスモデルの崩壊を避けることと、既存販売チャネルへの影響を懸念するからだ。こうした中で、会計など業務ソフトを展開するピー・シー・エー(PCA)が今春…
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「ユーザー企業の経営者にIT活用の重要性を訴える」のが大手ITベンダー・トップの役割
ユーザー企業の経営者がITに対する理解度が低いことを、IT業界は声高々に叫ぶべきだーーー。日本ヒューレット・パッカードの社長を07年11月末に退任にした小田晋吾氏は、富士通やNEC、日立製作所、NTTデータ、日本IBMなど大手ITベンダーのトップが結集し、ユーザー企業にIT活用の重要性を説く必要が…
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日立ソフトが取り組むメンタル・ヘルス問題
「うつなどメンタルな病にかかる人は他産業の10倍にもなる」。日立ソフトウェアエンジニアリングで健康管理統括センタ長を務める医師の辻正弘氏は、日本のソフト業界がメンタル・ヘルス問題に真剣に取り組む必要性を説く。
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利益率20%のNSDが編み出した株主優待サービス「グッぴー」
中堅ソフト会社の日本システムディベロップメント(NSD)が経常利益率20%を射程距離に入れた。05年度の17.8%から06年度に19.0%にアップ。07年度計画は業界平均5~7%を大きく上回る19.5%である。
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忍び寄るコンプライアンス不況
「日本版SOX法と下請法というダブルパンチを受けている」―――。ある中堅ソフト会社の経営者は最近、コンプライアンス(法令順守)の徹底に大慌てで取り組み出したIT業界にあって、これら2つの法令がむしろ赤字案件を増やし、さらに案件そのものの減少を招く可能性があることを懸念する。
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IT産業衰退はユーザーにも責任
日本のIT産業が崩壊の危機に瀕している。国内に大きな市場があり、従来型ビジネスに固執したことに起因する。90年代に急速に勢いで普及したインターネットやオープン化などへの対応が遅れたことに加えて、ITユーティリティ・コンピューティングに必要な仮想化や統合化、自律化などの研究開発に出遅れた結果、日本市…
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世界最大手ITサービス会社、米EDSが日本市場で存在感を増す日
売上高213億ドル(約2兆4000億円)、社員14万人を抱える大手ITサービス会社、米EDS(エレクトロニック・データ・システムズ)が日本市場で売り上げを伸ばし始めている。ジャパンシステムの売り上げ113億円から推定すれば、同社を含めて200億円超の規模に達しているだろう。社員もジャパンシステムを…
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ITサービス業界で注目集めるユニアデックス、その秘密は
「確かにITサービス事業で先を走っているように見られている」。ITインフラ構築から保守・運用を展開するユニアデックスの高橋勉社長は、業界で注目が高まっていることに嬉しそうだ。06年度に売上高854億円、営業利益38億円の同社の事業構造を探ってみる。
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三菱総研がITサービス事業を強化する理由
三菱総合研究所(MRI)がITサービス事業の強化に動き始めようとしている。同社の田中將介社長は「当社の強みであるシンクタンク機能を生かしたコンサルティングとシステム構築を展開していく」とし、M&A(企業の合併・買収)などアライアンスを強力に推し進める考えを明らかにした。
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クレイの20ペタFLOPSスーパーコンピュータの波紋
「2011年頃のタイミングで20ペタFLOPS機を出荷する予定だ」。スーパーコンピュータ専業メーカーである米クレイのピータ・ウンガロ社長兼CEO(最高経営責任者)は07年10月、記者のインタビューにこう答えた。文部科学省が約1150億円を投入して開発に着手した次世代スーパーコンピュータ(10ペタF…
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「世界で戦えるSaaSにする」、ソフトブレーンの松田社長
「世界で戦える土壌を作るために、中国版と英語版のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型eセールスマネージャーを開発した」。営業支援ツールのeセールスマネージャーを展開するソフトブレーンの松田孝裕社長は07年8月末、09年度(12月期)に海外向け販売を国内販売より上回る規模にする意気込みをこ…
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インドIT企業のウィプロが「日本のITサービス会社の下請けにならない」理由
「日本のシステム・インテグレータ(SIer)とは、ユーザー企業に対するアプローチが異なる」。インドのウィプロのIT事業部門であるウィプロ・テクノロジーズで金融ソリューションのプレジデントを務めるギリッシュ・パランジブ氏(経営執行委員会チェアマン兼務)はこう語り、グローバル展開の経験と新しい技術に熟…