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 第一線のSEは,日常システム開発や保守や提案活動などで忙しい。トラブル時や稼働開始前などは真夜中まで頑張ることも少なくない。仕事のピークが過ぎても新技術の勉強に追われる。

 そんな生活が数年続いていると,往々にして「SEの職務は何だろうか」,「SEは会社から何を期待されているのだろうか」とか「会社は自分に何の為に給料を払っているのだろうか」などと言うややこしいことは考えなくなる。

 だが,筆者はSEマネジャやSEの方々に「時には,SEの職務は何か?会社の期待は何か?などを自分で考えて見る」ことを勧めたい。

「SEの職務とは?」原点に戻って考えてみよう

 筆者は現役時代の三十台のころから「SEの職務は何か」を考え続け,自分なりに「第一線のSEの職務は会社のビジネス目標の達成と顧客満足度の向上である。会社はそれをSEに期待して給料を払っているのだ」という結論にたどり着くにいたった。ビジネス目標とは会社や部門などの売上げ・利益目標などであり,顧客満足度とはお客様から「おたくと仕事をして良かった。助かった。頼りになる」と評価されることである。筆者は現役時代,そう後輩を指導していた。

 きっと読者の中には「そんなのはきれいごとだ。ビジネスや顧客満足度向上は上司や営業がやっている。我々は上司や営業やお客様から言われたことをやっているだけだ」などと否定的に考えている人,また否定はしないまでも日ころそれに無関心な人も結構いると思う。だが果たしてそれで良いのだろうか。

現場で見た憂慮すべきSEの現状

 筆者は90年代半ば,メーカーからユーザー企業に転職した。そこで約6年間ユーザーとして仕事をし,メーカーを含め多くのSI企業やコンサルタント会社などと一緒に仕事をした。その間,様々なSEやコンサルタントを見た。

 もちろん,しっかりした仕事をする,信頼できるSEもいた。しかし中には,与えられた仕事は一生懸命しているが顧客の気持ちが分からないSE,WBSもろくに作れないメーカーSE,丸投げのPM,顧客に助言もしないスペシャリスト,約束を守らないコンサルタント,技術的なことをあて推量で言って間違えるテクニカルSE,営業的なSE,挨拶もしないSE,理解に苦しむ資料を提出するSEなど,さまざまな人がいた。ほとんど顔を見せないSEマネジャもいた。

 そんな人が少数であればよい。しかし現実はそうではなかった。当然,大小おり混ぜていろいろな問題が起こる。開発スケジュールが遅れたり,トラブルが長引いたり,SEが言ったことの裏をとったり,再確認したり,上司を呼んで文句を言ったりなどなどだ。また、利用部門にも頭を下げることになったりした。

 メーカー時代に「SEの職務は会社のビジネス目標の達成と顧客満足度の向上である。それを原点にしっかり仕事をするのがプロのSEだ」と言っていた筆者の気持ちは複雑だった。当時筆者は「このSE連中は何を考えて仕事をしているのか」「ビジネスやお客様のことをどう思っているのか」「SEマネジャはどんな指導をしているのか」とIT企業の管理者に結構文句を言ったものだ。

 一方「これでは日本のユーザーはたまったものではない。システム開発などで様々な問題が起こっても不思議ではない」とも思っていた。

 こう書くと「話は分かるがそうは言っても…」と思う人や「現状を知らないで気楽に物を言う」と気分を悪くする方もおられるかもしれない。そして,そう考える人の頭の中にはきっとIT企業の慣習である「派遣ビジネス」「人月単価」「体制図」「教育不足」「元請け・下請け」などがあるものと思う。

知恵と工夫を発揮すれば変革できる

 その気持ちはよく分かる。

 しかし筆者はあえて言いたい。確かに会社がやるべきことがある。だが,SEマネジャやSEも,会社のビジネス目標の達成と顧客満足度の向上と言う原点を考えて、自ら現在のSEのあり方を改善し変革できるものもあるはずだ。できない理由を考えるより,どうやればできるか知恵と工夫を発揮することだ。お客様と壁を作らない、脱技術偏重、脱受身体質、上手な資料作り、挨拶などは勿論だが、仮に、SEチームが真に担当顧客に頼りにされれば「体制図や人月単価の提示」「常駐」などは顧客は強くは要求しないはずだ。そのうえ,競合にも強くなる。そうなると会社のビジネスのやり方も変えやすくなる。こうして良い循環が起るはず。

 筆者はこれまでこのブログで「倫理感を持て」「壁を作るな」「組織や人を動かす力を持て」など,第一線のSEの,日頃の仕事のやり方にかかわることばかり書いてきた。「日本のSEマネジャやSEはこれで良いのか」という視点から,筆者の経験に基づいて話してきた。頭に来るSEもいると思う。実際に「偉い人は気楽にものを言う」,「経営者を恨みたくなる」,「SEの現状を知らない」など批判的なコメントも頂いた。だが,次回からもしつこく現在のSEに関する問題提起を行っていくつもりだ。