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 創造的開発は,必ずしも新規事業とは限らない。自分の会社が強みを持つ応用分野や技術を一段と強くし,トップ・ランナーになるための次世代技術を開発しつつ,競争相手が追いつけない挑戦的プロジェクトを進めることも創造的開発だ。

 日本が真の意味での技術大国になるためには創造的開発が必須となる。そのために最も必要なのは人材の育成だ。いわゆる総合的能力のある秀才は,発案や設計段階では役に立つものの,創造的開発には邪魔な存在だ。創造的開発では,自分が正しいと思えば不退転の覚悟で自分のアイデアを広める必要がある。というのも,自分が主体的,専門的にやっていることについては自分が一番のプロだからだ。

 創造的開発の一番の良さは,自分が一番先頭を走っていることである。開発の進行とともに自分自身をも成長させることができる。

 創造的人材を育成するには,知識を詰め込むよりも,新しい製品開発プロジェクトを起こして経験を積ませることが大切だ。チームを結成し,「新しい製品の仕様書」「開発方法」「設計ハンドブック」「製品設計計画書(Product Implementation Plan)」などをよく考えて,新規に作成させることである。さらに,プロジェクトをスケジュール内に完成させ,プロジェクトが完成したときの感激を若いときに体験させることも重要だ。

 特に,各開発段階でのレビューは人材育成のために不可欠な作業である。レビューを通じて,マネージャは創造的開発や創造的設計を若い技術者に教え,若い技術者はプレセンテーションの手法を学ぶことができる。つまり,技術者自身が持つ技術よりも高いレベルでかつ挑戦的に,線路を敷かせ,列車を作らせ,列車を運転させるのである。

 創造的開発に必要な人材を育成するに当たって,会社にできることが2つある。挑戦的な開発プロジェクトを起こすことと,挑戦的な開発の結果が評価に反映される給与システムを導入することだ。その一方で,技術の蓄積があっての挑戦であることも忘れてはいけない。

 若い時期に養成すべき能力は,問題を見つけ出し,本質を見抜き,創造するための,考え出す能力(知恵)だ。創造的開発には自由が必要である。その自由は,技術と知恵を取得したときに,初めて得られるのである。

 新規な応用にこそ貴重な原石があると信じつつ,その目的を満たすアイデアを創造し大事に育てること---。これが開発技術者の義務であり楽しみである。