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 Windowsがここまで普及したのは(偶然のものも含めて)多くの要因が考えられる。プラットフォームとなるハードウェアが安価であったこと,各種のAPIが公開され(あるいは解析され),その結果として多くのアプリケーションが存在したことなどである。そして,もう1つ,強力な批判勢力の存在も見逃せない。

 たとえば,本連載のコメントを見てみよう。Windowsの機能について直接触れた直近2回については,かなり厳しい批判コメントがついた。もちろん,他のOSでも批判的な意見は存在するが,ここまで強い口調で指摘されることはあまりない。製品や会社に不満があれば,ふつうは黙って別の製品に乗り換えるものだからだ。ところが,Windowsに関しては,不満を公に表明する人が多い。

 現在では,Windows以外の選択肢も存在する。Macintoshを使うこともできるし,Linuxを使っても良いはずだ。最近のMac OSはメモリ管理やマルチタスク機能も向上しているし,LinuxのGUIもずいぶん進化した。Officeスイートをはじめとするアプリケーションも増えている。実際にWindowsを捨てた人も多い。

 多くの批判者のおかげでマイクロソフトは,製品に対する改善点を簡単に入手できる。古くはWindows 95時代のインターネット対応がそうだし,最近ではOffice Liveもそうだ。Office LiveはGoogleへの対抗であるが,そもそもGoogle支持派の多くは反マイクロソフト勢力である。

 私の見たところ,最も厳しい批判は,非Windowsユーザーから出ているようだ。次が嫌々Windowsを使っている一般ユーザーである。企業ユーザーからの批判は,ビジネス面での注文を除けば意外に少ないように思える。

 一方で,Internet Explorer(IE)やWindows Media Playerのアンバンドル要求は,無視されている。ヨーロッパの裁判所命令によって,ようやくWindows Media Playerのアンバンドルが実現したが,他の国では相変わらずバンドルされている。アンバンドルによって消費者の選択肢は増えるが,それによって売り上げが伸びることは望めないからだろう。そういえばIBMが自社OSをハードウェアからアンバンドルしたのも,裁判所の命令だったはずだ。ただし,Windows批判の最右翼は非Windowsユーザーなので,要求を無視しても顧客満足度にはあまり影響しない。

 サービス業界では,顧客のクレームは宝だという。サービスに不満を持った人のほとんどはクレームを上げない。単に二度と利用しないだけである。そのため,改善点が分からないことが多い。クレームを上げてもらうことで,改善点を認識でき,対策を立てることができる。反マイクロソフト勢力は,無償で製品の改善要求を上げてくれ,しかも対応が遅れても顧客満足度を下げないという貴重な存在なのである。中には事実無根の批判もあるが,それもご愛敬である。反マイクロソフト組は,これからも頑張ってマイクロソフト批判を続けて欲しい。