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 「うわ~、これだぁ~~~!」と大声をあげるシゲちゃん。もちろん私も大いに感動している。私たちの目の前には、Alto(アルト)の実機があるからだ。ご存知の方も多いと思うが、Altoとは、1973年に米国ゼロックスのパロアルト研究所で開発されたワークステーションである。当時から、マウス、ビットマップディスプレイ、アイコンとウインドウによるGUI、イーサネット、電子メールなどの機能を備えており、現在のWindowsマシンやMacintoshに多大な影響を与えている。今回の取材で訪問させていただいたのは、神奈川県川崎市高津区にある富士ゼロックス株式会社(以下、富士ゼロックス)だ。商品開発本部サービス開発部長の田中往成さんとスタッフの皆様が、富士ゼロックスの歴史と製品群を紹介してくれた。

複写機とコンピュータの融合

 実は、取材のお目当てはAltoではなく、同社のデジタル複合機の最新製品であるDocuCentre Color f450(以下DCC f450)だ。デジタル複合機とは、複写機、FAX、スキャナ、プリンタといった複数の機能を1台のマシンに集約したもの。もちろん、コンピュータも内蔵されている。最新のデジタル複合機の機能は、どれほどのものだろう。そもそも、どうして複写機とコンピュータがくっ付いたのだろう。田中部長の説明を聞いてみよう。

田中:私が入社した1970年代には、複写機とコンピュータには、まったく接点がありませんでした。コンピュータがデジタルな世界であるのに対し、複写機はアナログな世界だったからです。複写機とコンピュータが融合するとは、夢にも思いませんでした。その後、1980年代になると、複写機の制御だけをコンピュータで行うようになりました。さらに、1990年代になると、ドキュメント自体をデジタル化し、アナログにはできない画像処理、圧縮、変換、伝送などが実現できるようになりました。CPUが高速になり、大容量のストレージ(ディスク装置)が使えるようになったからです。これによって、複写機とFAXやプリンタなどの機能が徐々に重なり、デジタル複合機となったのです。種がまかれ、芽が出てから、少しずつ枝葉が広がって行ったような進歩です。

Webサービスを活用したデモに感動!

 DCC f450の機能をデモしていただくことになった。本体の大きさは、ふつうの複写機を一回り大きくした程度だ。操作盤の液晶モニタが大きく、ちょっとボタンが多いかなぁぐらいのものだ。コピーをとっても、FAXを送っても、プリンタとしてPCのデータを印刷しても、どれも当たり前のこと(すなわち定型処理)だが、DCC f450には、私とシゲちゃんの度肝を抜くような凄い機能があった。それは、非定型処理を実現する「ジョブフローサービス」と呼ばれるものだ。

 ジョブフローサービスは、デジタル複合機が持つ様々な機能を自由に組み合わせた処理(これが非定型処理)を定義する。シンプルな例として、スキャナで取り込んだドキュメントをPDF形式で保存するとともに、他のコンピュータのフォルダに転送するデモが行われた。DCC f450とネットワーク接続されたPC上で、管理ソフトのEasyAdminを使ってジョブフローサービスを定義する。定義の内容は、XML文書となるのだが、その仕組みを利用者に意識させないビジュアルなエディタが用意されている。このデモの場合は、スキャナと文書とフォルダの3つのアイコンを線で結ぶだけだ。必要に応じて、スキャナの倍率、ファイル形式、転送先のPCのログイン情報なども設定できる。ところで、管理ソフトからDCC f450への転送は、どうやっているのだろう?

田中:ジョブフローサービスを定義しTESTのような名前を付けたら、SOAP(Simple Object Access Protocol、Webサービスを利用するためのプロトコル)でEasyAdminからDCC f450に送ります。DCC f450は、Webサービスのクライアントであり、WebサービスのWebサーバーでもあるわけです。DCC f450の液晶画面に表示されるメニューからTESTを選択すれば実行できます(ここで、ガ~っとスキャンして、ピュ~ンとファイル転送した)。

 「すげ~! すげ~!すげ~!」と興奮するシゲちゃん。こりゃ確かに凄いぞ。PC同士のWebサービス連携ならそれほど感動しないが、コピー機、じゃなくてデジタル複合機自体がWebサーバーになっていて、Webサービスを実行できるんだから驚きだ。Webサービスは便利だ、SOAPは素晴らしい、と感動した。ここで、記念にアレをやってもらおう。すみませんが”Hello World”という名前でジョブフローサービスを作ってください(ちょっと頼むのが恥ずかしかったが)。

 この後、Multimedia Document Service Systemのデモも見せていただいた。これは、デジタル複合機の隣に液晶モニタを備えた端末と料金ボックスを置き、適切な著作権料を支払って、スポーツ新聞の1面やアイドルの写真などをダウンロードして印刷するものだ。携帯電話のメールに添付されたファイル(Officeの文書ファイルなど)をいったんセンターサーバーに送ってから、ダウンロードして印刷するデモも見せていただいた。Hello Worldの表示も余裕でやっていただけた。このシステムは、皆様がよく行くチェーン店への導入が決まっているそうだ(取材時点では、詳細は秘密です)。

600人がかりで作ったソフトが入っている

 読者の皆様に、何とかしてコンピュータとしてのDCC f450の構成やパワーを伝えたいものだ。しかし、この業界は競争が激しいため、公開でない情報も多いそうだ。DCC f450のスペックに関しては、カタログやWebページに掲載されている通りとしか言えないとのこと。そこを何とか教えてほしい。開発工数は、どれくらいでしたか? ふむふむ、1200人ほど関わって、その半数がソフトウエア開発者ですか。600人がかりで作ったソフトが入っているわけだ。凄いなぁ。開発言語は何ですか? ほう、JavaじゃなくてC言語なんですか。制御系のプログラミングには、C言語が適しているんですね。それじゃOSは、Linuxですか? もしかしてWindowsだったりして? えっ、違うって。VxWorks(制御系の分野で広く使われているOS)なんですね。しつこく聞いたら悪いですから、ここまでの情報で、何となくDCC f450の凄さをイメージしてください。

 さてさて、コンピュータと融合する前から複写機と関わってきた「業界の生き字引」のような田中部長は、デジタル複合機の未来をどのように予測されているのだろう。もちろん、企業秘密で言えないこともあるかもしれないが、差し障りのない範囲で教えてください。

田中:当社の現在のキーワードはOpen Office Frontierです。Open Officeとは、ITを活用して「あらゆる場所をオフィスにする」ことを意味します。Frontierとは、「業界の先駆者であれ」ということです。進化したデジタル複合機は、携帯電話などとともにOpen Office Frontierのポータルとなります。様々なジョブを連携させたバリエーションを提供するのです。ただし、操作を複雑化させていけません。もっともっとユーザーインターフェイスを良くして、コンピュータの存在を意識させないものとしなければなりません。現在のPCも、現状の操作性のままでは、これ以上普及しないでしょう。

Altoの末裔がデジタル複合機なのかもしれない

 ユーザーインターフェイスを重視しているのは、さすがAltoを生んだ会社だなぁ、と感慨にふけっていると、シゲちゃんが「ゼロックスでは、現在はPCを製造してないのですか?」と質問した。どうやら、まだAltoのことが頭から離れないようだ。

田中:Altoの後にJStarというマシンがありましたが、現在では単品のコンピュータを製造していません。強いて言えば、DCC f450をはじめとする各種のデジタル複合機が、当社のコンピュータ製品群だと言えるでしょう。

 なるほど! Altoが進化してDCC f450になったのかもしれない。富士ゼロックスの皆様、今日は数々の感動をありがとうございました。