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 企業とは何か。改めて議論してから経営戦略に入るとしよう。

 企業と社会は、ビジョンとミッションを共有する関係にある。ビジョンとミッションは企業の社会に対するコミットメントであり、株主もこれを株主として共有する関係にある。単に投資に対する配当のみを目的にしているわけではない。且つそうあるべきである。そうすれば株式を所有することで、社会に対して積極的な貢献の関係を持つことが出来る。既に環境問題等はそのような形で株主が関与している。

 むろん顧客、即ち消費者として、経営に自己の価値観をぶつける方法もある。経営は既に述べたように、社会に対するコミットメントと株主に対する配当というコミットを果たすべく目標を設定し、その実現の方法論である戦略を策定してそれを遂行する。社員もこれを共有してその実現の為に活動を展開する。単に労働時間に対して対価として賃金を受けとる存在ではない。

 経営者はこの全体の企画と調整を行う、いわば楽団の指揮者のような存在である。これが経営の基本機能である。この、社会における企業の存在と機能を図示すれば、図1のようになる。


図1●社会と企業

 経営戦略を策定する手順はいろいろあるが、通常はビジョンから始まり、ミッション、到達すべき目標、それを実現すべき戦略として順次策定される。そして戦略はビジネスモデルとしてデザインされなければならない。戦略の実装がビジネスモデルのデザインである。

 ビジョンとはどういうものか。ビジョンは目的でもなくミッションでもない。ビジョンとはこうありたいと望む将来の明確な姿であり、組織の向かうべきところはどこか、という質問に答えるものである。

 このビジョンとミッションについての有名な事例は、アメリカのジョンF.ケネディが示した例である。彼は「われわれは、有人宇宙飛行という科学において世界のリーダーとなる」とアメリカ国民にアメリカのアポロ計画ビジョンを示した。そしてミッションとして「1960年代の終わりまでに安全に人類を月に着陸させ無事に帰還させよう」述べた。

 ビジョンを分かち合うことによって組織全体は共通の目的意識を持つことができ、その組織の行動規範について共通の尺度を持つことができる。ビジョンの確立はリーダーの責任である。そして、ビジョンは組織の人々のインスピレーションを育て、目標に挑戦する気持ちを鼓舞するものでなければならない。ビジョンは組織の人々の潜在的な関心や価値観に十分に注意して作成しなければない。

 ミッションとは組織の存在する理由、その組織が置かれている環境である。だれが顧客であり、そしてどんな製品とサービスを提供するのかが明示されなければならい。

 ビジョンやミッションは文字どおり経営の根幹であり、人から提案されるものではない。経営者の人格そのものである。要点は、顧客は誰か、そして顧客が求めるものは何かである。

 そして戦略とはそのビジョンとミッションを果たすための方策である。ビジョン、ミッション、戦略は相互に調和するものでなければならない。そのビジョンとミッションを達成するならば、経営の成果は自ずとついてくるといえる。

 そのためには、ミッションは数値的な目標としてブレークダウンされるべきである。数字化された目標なしに戦略を立てるべきではない。経営の成果をどのように評価するか、明示する必要がある。抽象的な目標では成果を上げる戦略を策定することはできない。そしてその戦略は、ビジネスモデルとして実装されなければならない。