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 「コンサルティング・ファームとエンジニアリング・ファームを兼ね備えた機能に仕立て、グローバルで展開する」。日立製作所の山口光雄・情報・通信グループCOOはITコンサルティング事業に本格的に乗り出す意気込みを語る。さらに「ユーザーとの接点を拡大・強化するためには、ユーザーと対等に対話のできる人材を育成する必要がある」とし、2008年度までに米国に1500人、日本に1000人、欧州に500人のコンサルタントを配置するという。

 具体的には、日本市場では2002年7月に設立した製造業向けコンサルティングを手掛けるエクサージュの社名を06年4月に変更し、日立コンサルティングとして立ち上げた。同社には現在、60人のコンサルタントがいるが、ここにビジネスソリューション事業部や業種別組織に配属したコンサルタント1000人の中から選抜し集約させていく計画。米国市場向けは、2000年11月に米日立コンサルティング(HCC)を設立し、既に1000人のコンサルタントを擁する。欧州はこの3月に30人弱のコンサルティング会社を設立したところで、これで日米欧の体制が整ったことになる。

 「グローバルにワンフェースでサービスを提供できるようにする」(山口氏)ことが重要になるとの判断から日米欧でコンサルティング事業を強化・拡充する。日本企業は欧米に、米国企業は日本や欧州に進出する際に業務プロセスの見直しやシステム構築などを支援する。それをスムーズに実現させるために、この5月に情報・通信グループ長兼CEOの篠本学執行役専務を委員長とするグローバル・コンサルティング・コミッティを立ち上げた。

 篠本氏のほか米HCCのマイケル・トラヴィス社長兼CEO、日立コンサルティングのポール与那嶺社長兼CEO、SE部隊を統括する中島純三執行役常務、山口氏の5人がメンバーで、「ワールドワイドで方針や情報の共有化を図る」(山口氏)。人事交流なども行いながら、06年度から08年度の3年間で合計1500億円の売り上げを見込んでいる。

 ただし、海外では大量のSE集団を抱えることは避ける。「SEを抱えると固定費が増大する」(山口氏)からだ。インドや中国などのITサービス会社が台頭していることもあるので、ユーザーにはインドや中国などのパートナ企業を紹介する形にする。その一環から中国にソフトウエア開発センターを数カ所設置した。インドにもオフシェア開発センターを作る。

他ITベンダーと異なる戦略

 日立は米IBMをはじめとするITベンダーと異なるコンサルティング事業を展開してく考え。「当社はIBMやHPのようなピュアなIT企業ではない。社内に電力や自動車関連、エレベータ、家電など様々な事業を持っている。しかも、これら事業はITと深く関係する。つまり、実世界とITを結ぶつけることを展開できる」(山口氏)。こうした産業で培ってきたノウハウや経験もITコンサルティングに生かせるというわけだ。

 もう1つある。「日立のSEはヘルメットを被ったSE。つまり、モノ作りにおいて、いいっぱなしではなく、最後まで責任を持って確実にやり遂げるということだ」(山口氏)。背景には「顧客はいいパッなしのコンサツはもうこりごり」(同)と思っていることがある。もちろん自社製品やサービスの特長しか話さないITベンダーへの批判もある。だからこそ、事業コンセプトからプラント設計、運用まで技術に立脚したノウハウを持つエンジニアリング力と、業務やIT構築のコンサルティング力を兼ね備えることで、大きな強みを発揮できるとみている。

 「コンサルティングはユーザーとの関係を強固にするものだ。経営課題やユーザーの業界におけるポジショニングなどの情報を収集・分析する力を備えていけば、他社とは異なる事業を展開できる」(山口氏)。ただし、日立のコンサルティング事業には、そうした業界動向を調査する部隊はないので、日立グループの共同出資会社である日立総合計画研究所との連携になる。「製造業を中心の業界でどんなことが起きているかをきちんと整理し、前線のSEなどに伝えられるような一種のテンプレートを作っていきたい」(山口氏)。

 そして、「私見だが、コンサルティング事業もコーポレートの組織にする」。日立の山口COOはそう考えている。