PR

 私は現在ユーザー企業の情報システム部で働いていますが,かつてはベンダー側でソフトウエア製品の開発などに携わっていました。ユーザーとベンダー両方の立場で仕事をした経験から,ソフトウエアの品質と責任について,ユーザーとベンダーの間には大きな意識の違いがあると感じています。

 現在,オープンシステム上にミッション・クリティカルなシステムが数多く存在しています。しかし私がベンダーにいた時,正直言って「ミッション・クリティカルなシステムでの利用は勘弁してほしい」と思っていました。

 ソフトウエアにはベンダー各社からひんぱんにパッチなどが提供されます。あるシステムで利用しているソフトウエアをすべてあわせると,いったい1カ月にいくつパッチがリリースされるのか,実際にカウントしたことあるでしょうか?中には「クリティカル」という位置づけのものもあります。運用している最中にも様々な不具合が報告され,順次修正がされパッチが提供されています。商品のライフサイクルが終われば,一方的にパッチの提供すら止まります。

 誤解を恐れずに言えば,これがオープンシステムです。オープンシステムはクオリティよりも機能アップを優先させます。その結果がこれです。ベンダーは,上記のようなライフサイクルを前提にソフトウエアを開発し,販売しているのです。

 汎用機は機能やコストよりも品質を優先しており,また長い歴史の中でバグも枯れています。かといって汎用機に頼ることは,コスト的に,また機能的に,オープンシステムを利用している企業にとって現実的な選択肢とは言えないものになっています。

 オープンシステムを利用する場合,その責任は「ベンダーとユーザーが折半で担っている」とベンダーは思っています。だがユーザーはどう思っているでしょうか。ユーザー企業に入社して日々思うのですが,大きな認識のギャップがあるように思えてなりません。

 このギャップの存在がきちんと認識されていないために,オープンシステムを提供する側,システムを守る側が,みんな理不尽な要求に振り回されているのではないでしょうか。

 ソフトウエアはPL法(製造物責任法)の対象外ですが,仮に裁判でシステムとしてベンダー者の責任が問われたりした場合,状況は一変すると思われます。ベンダーはオープンシステムを利用することによるリスクをあらかじめユーザーに説明し,書面でユーザーの承諾を得なければソフトウエアを提供しない,といったことになるでしょう。それがだめなら,汎用機を利用してほしいということになるかもしれません。もしかしたら,そうなることが成熟産業への道なのかもしれませんが。