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 カシャッ! カシャッ! と鳴り響くシャッターの音。ここは、東京都新宿区の高層ビルの中にあるアップルコンピュータ株式会社のセミナールームだ。最新のMac OS X "Tiger"、Apple Remote Desktop 2、Apple Cinema HD Displayの記者発表会が行われている。詰め掛けた大勢の報道関係者や出版関係者の前で熱弁を振るうのは、Mac(Macintosh)のエバンジェリストとして有名な櫻場 浩さんである。

 実は、私は、ほとんどMacを使ったことがない。もちろんMacでプログラミングした経験もない。根っからのWindowsユーザーでありWindows用のアプリケーションを開発してきた。とは言え、常にMacのことが気になっていたのも事実だ。読者の皆様の中には、おそらく私と同じ境遇の人が多いことだろう。

 Mac OS X(テン)からOSがUNIXベースになったってどういうこと? Macで人気のあるプログラミング言語は何? どうやってプログラムを作るの? Macに関しては、知らない事だらけだ。せっかくの機会なので、記者発表会を終えたばかりの櫻場さんに教えてもらおう。なお、今回の取材から、同行していただける記者兼カメラマンが、シゲちゃんからS記者にバトンタッチされた(この取材は、2004年7月に行われたものです)。

Macに関する素朴な疑問

矢沢:Macでプログラミングするには、どうしたらいいのですか?

櫻場:OSのパッケージの中に入ってるX Codeというツールを使います。Mac OS Xのパッケージには、4枚のCD-ROMが入っていて、その内の3枚がOSで、もう1枚がX Codeです。他社製のツールもあります。メトロワークスのCodeWarriorや、アスキーのREALbasicなどです。

矢沢:OSを買えば、プログラミングツールが付いてくるのですね。プログラミング言語は、何が使えますか?

櫻場:C、C++、Java、Apple Script、Objective Cなどです。OSがUNIXベースですから、その他にもUNIX用のFORTRANなどが使えます。

矢沢:アプリケーションのGUIは、どうやって作ればいいのですか?

櫻場:インターフェイスビルダーというツールを使って、ビジュアルにデザインできます。それとX Codeで記述したコードを組み合わせます。

矢沢:どのような種類のプログラムを作っている人が多いのですか?

櫻場:コンシューマー向けのアプリケーションを作っている人が多いですね。それから、これからはUNIX用アプリケーションをMacに移植することも多くなるでしょう。

矢沢:Mac OS XがUNIXベースとは、どういうことなのですか?

櫻場:MacにUNIXのパワーと安定性が統合されたということです。

矢沢:中身がUNIXで、見かけと言うかGUIだけがMacというわけですか?

櫻場:いいえ、そうではありません。見た目だけじゃない、操作性や機能性だけでもない、一言では言い表せないMacらしさ、Macの思想をUNIXと統合したのです。

矢沢:Macの思想とは?

櫻場:使えば使うほど楽しいことですね。記者発表会でお見せしたTigerのiChatというビデオ会議システムでは、会議室のテーブルに参加者の顔が写っていたでしょう。このような楽しさがMacの思想です。

矢沢:なるほど! それでは、Macで気軽にプログラムを作るとしたら、どんなツールを使いますか? たとえば、いますぐ画面にHello Worldと表示するとしたら。

櫻場:Tigerの新機能であるAutomatorをお見せしましょう。OSやアプリケーションが提供する機能を組み合わせて、簡単にプログラムを作れます(実際にデモしてくれた)。

矢沢:おおっ、素晴らしい! それでは、前半最後の質問です。Windowsプログラマに向かって「もっとMacで○○○○○○してください」とメッセージを伝えるとしたら、空欄にどんな言葉を入れますか?

櫻場:「プログラミングしてください」と言うべきかもしれませんが、それ以上に「コンピュータを楽しんでください」と言いたいですね。Macは、パーソナルコンピュータです。ユーザーが個人でMacを楽しんでほしいと思います。Macのデベロッパーの多くは、Macの熱狂的なユーザーでもあります。

矢沢:プログラムを作る楽しみに以上に、プログラムを使う楽しみがあるというわけですね。

櫻場:その通りです。

Macファンに関する素朴な疑問

矢沢:後半では、Macを愛する櫻場さん自身にスポットを当てさせていただきます。まず、コンピュータとの出会いから教えてください。

櫻場:学生時代に、MSX(1983年にアスキーがマイクロソフトと共同で提唱した8ビットパソコンの規格)でゲームをして遊んだり、BASICでプログラムを作ってみたことがはじまりです。ただし、楽しいとは感じませんでした。学校にはPC9801がありましたが、触ったことさえありませんでした。

矢沢:ええっ! 趣味でも学校でもコンピュータの勉強をしていなかったのですか?

櫻場:学生時代の知識は、コンピュータが好きとか嫌いとか考えられるレベルじゃなかったですね。とは言え、これからはコンピュータ業界が伸びると思って、当時の日本DECに就職したのです。

矢沢:Macに出会ったきかけは?

櫻場:社内でMac LCを使っている人がいて、そこで何気なくAfter Darkというスクリーンセーバーを見ました。画面で魚がプクプク泳ぐやつです。

矢沢:はいはい。それで?

櫻場:あまりにも感動して、一発でノックアウトされてしまいました。翌日には、数十万円を握りしめて秋葉原に行き、Mac II ciを買いました。これは、私にとって人生最速の衝動買いです。もちろんAfter Darkも買いました。

矢沢:あはは。After Darkにノックアウトされるところが、Macファンになる素質なのかもしれませんね。After Darkのどこに感動したのでしょう?

櫻場:アイディアです! 技術的には、それほど凄いことではないとしても、パソコンの画面で魚を泳がせるというアイディアが凄い。それ以来、ずっとMac一筋です。いつかは、アップルで働いてみたいと思っていたら、たまたまチャンスが巡ってきたので転職しました。

矢沢:アップルに入社されMacを売る立場になって、どう感じましたか?

櫻場:仕事は大変ですが、やりがいがあります。アップルの社風として、仕事は組織ではなく個人に所属するという考え方があります。

矢沢:個人に全面的に仕事を任せるということですね。Macの思想に通ずるものがあるように思います。しかし、そうなると、もしも担当者が辞めてしまったら大変でしょう?

櫻場:アップルの社風が合う人は、辞めませんから大丈夫です。

矢沢:いよいよ、最後の質問です。櫻場さんにとって、Macとは、ハードウエアを指すのでしょうか、それともソフトウエアなんでしょうか?

櫻場:ハードウエア、OS、アプリケーションが三位一体となったものがMacです。

矢沢:Macを何かに例えるとしたら?

櫻場:Macは、ツールです。職人さんをイメージしてください。よいツールは、使えば使い込むほど手になじんで味が出てきます。単にパソコンがほしいのではなく、何をしたいかが先にある人にはMacが合っているでしょう。Macは、あなたがやりたいことを実現するためのツールだからです。

矢沢:それでは、ユーザーではなくプログラマにとってMacの魅力は?

櫻場:自分が作ったプログラムがMacというツールの一員に加わることです。

 櫻場さんのお話を聞かせていただいて、Macを愛する人たちの気持ちが少し分かったように感じた。私も、プログラマではなく、ユーザーとしてMacを使ってみたくなった。アップル株式会社の直営店に行けば、いろいろな機種のMacに触れられるそうだ。場所が銀座とは、さすがMacはお洒落だ。私がMacを使っているところを写真に撮ってくれたS記者から「矢沢さんはMacが似合いませんねぇ」と言われてしまったが、どういう意味なのだろう(わかるけど)。