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 七里ガ浜の磯伝い~(唱歌「鎌倉」より)、通称「江ノ電」こと江ノ島電鉄は、明治35年(1902年)に開業した歴史あるローカル線です。藤沢駅と鎌倉駅を結ぶ約10kmの沿線には、江ノ島、鎌倉大仏、鶴岡八幡宮など数多くの観光名所があります。自然に囲まれた歴史ある街並みをコトコト走るレトロな車両は、とっても風情があっていい感じです。そんな江ノ電の藤沢駅と鎌倉駅のホームに、大型のプラズマディスプレイが2台ずつ設置されました。映し出されているのは、TV番組ではありません。広告です。「みんなの広告」というキャッチコピーで親しまれているこのシステム(江ノ電ウェーブビジョン)には、地域に密着した江ノ電ならではの優しさと楽しさが満ち溢れています。

1回15秒×1日50回=1,500円なり

 江ノ島駅のすぐ近くにある江ノ島電鉄株式会社を訪問し、みんなの広告を担当されている江藤弘樹さんと阿由葉圭介にお話を聞きました。社内のショーウインドウには、江ノ電にちなんだグッズやお菓子の見本が展示されていて、全国に熱心な江ノ電ファンが大勢いることがわかります。おおっ! 江ノ電マウスなんてのもある。透明なマウスの中に江ノ電のミニチュアが入っています。こんなマウスを使って仕事をしたら楽しいだろうなぁ。

阿由葉:みんなの広告は、江ノ電開業100周年記念事業として2002年7月にスタートしました。昔からある駅の広告の今風アレンジです。企業の広告だけでなく、個人の広告でもOKです。1対1の連絡のために使っても構いません。料金は、1回15秒の広告を1日50回ほど放映して1,500円です。インターネットまたはFAXで申し込んでください。お客様がデザインした画像を使うこともできますし、FAXで文面だけ送っていただいて、こちらで用意しているイラストと組み合わせることもできます。誰にでも気軽に使っていただきたいと思っております。

 15秒×50回で、たったの1,500円とは、とっても安い。ちなみに、通常のB1判の紙広告を藤沢駅や鎌倉駅に掲載する料金は14,000円だそうだ。よしっ! サーフボードを抱えた写真を撮って「海の似合う男ヤザワ」という広告を出してみよう。残念ながらサーフボードを持ってないから、とりあえずアイロン台で間に合わせておこう。これを見たら、皆ビックリするだろうな。想像しただけでも楽しくなっちゃう。冗談はさておき、実際にはどのような人たちが利用しているのだろう。

阿由葉:沿線のお店やレジャー施設の広告が多いです。このあたりには、学校がたくさんあるので、OBから後輩に「部活がんばれ」や「卒業おめでとう」とメッセージを送る広告もよくあります。今のところ「○○さん結婚してください」というプロポーズ広告はありませんが、子供の誕生日のお祝いや、結婚の報告といった個人的な広告もあります。広告の放映日を指定でき、ちょうど電車を1本待つぐらいの時間間隔で繰り返し放映されるので、きっとお目当ての人に見てもらえるでしょう。

もっともっと便利にしたい

 広告の申込みから放映までの時間は、インターネットなら最短2週間後、FAXなら最短1週間だそうだ。広告の内容を審査する時間が必要となるからだ。ただし、これまで放映を断るようなイタズラ広告はなかったとのこと。私だったら、とっておきのオヤジギャグを披露したいなんて考えちゃうけど、この地域の人たちは真面目なんですね。

江藤:みんなの広告をスタートする前には、偽りやなりすましなどを心配していました。今のところ問題は起きていませんが、念のため電話で申込者の所在を確認するようにしています。これからの課題は、申込みから放映までの時間を短くすることです。たとえば、急に人材が必要になったのに、募集広告の放映が2週間後では遅すぎるでしょう。さらに、インターネットからの申込みを、パソコンだけでなく携帯電話からもできるようにしたい。携帯電話から気軽に申し込めて、翌日には放映されるようにできたら、本当に便利な広告媒体となるでしょう。

 なるほど! インターネットで申し込んでも、内容をチェックするのは人間じゃないとダメですね。その手間を考えると、この1,500円という料金が、ますます安いと感じられる。インターネットの場合の決済は、Webマネー(プリペイドカード)を使ってもらうことなっている。1枚2,000円なので、3枚買って6,000円ならピッタリ広告4回だ。皆様、4コママンガのような広告はいかがでしょう。かなり楽しいと思いますよ。

 江ノ電の平均利用客は、1日当たり藤沢駅が約2万人で、鎌倉駅が約1万人とのこと。海水浴シーズンや初詣シーズンに関係なく、1,500円で藤沢駅と鎌倉駅の合計4台のプラズマディスプレイに広告が放映される。とにかくお得なのだ。現状の利用率はいかがなものだろう?

江藤:地元の人たちには、かなり認知されているのですが、まだまだ空きがあります。公の場に個人的な広告を掲載してはいけないと遠慮している方がいるかもしれませんが、どうぞ遠慮しないでください。個人広告であっても、それを見た人の心を和ませる効果があります。そんな楽しい使い方を歓迎します。もしも、申込みが殺到して現状のシステムでは受けきれないとなったら、モニタを設置する駅を増やしたり、放映するモニタを分けることで対応したいと考えています。申し込んだ人がインターネットで広告のデザインを確認できたり、駅の様子をリアルタイムで見られる仕組みも追加したいですね。過去に放映した広告のサンプルの紹介もしたい。これから改善して行きたいことがたくさんあります。

地域の人たちの触れ合い

 みんなの広告がスタートする前は、阿由葉さんは運転手をしていて、江藤さんは保線作業をしていたとのこと。阿由葉さんは、パソコンに触れたことさえなかったそうだが、今では江ノ電自体のみんなの広告を作っている。作品をいくつか見せてもらった。

阿由葉:江ノ電には無人駅があるので、運転手が乗客の切符を回収することがあります。同じ人に何度かお会いしている内に、だんだん親しくなって言葉を交わすようになります。江ノ電は、地域に密着した電車です。 みんなの広告は、お客様との触れ合いから生まれたアイディアなのです。世の中には、似たようなシステムがあるかもしれませんが、真似をしたわけではありません。

江藤:広告だけでなく「紫陽花が見ごろです」といった沿線の情報も放映しています。インターネットを見られないお年寄りにも、みんなの広告を楽しんでほしいと思います。システムを導入した当初は、レトロな江ノ電に似合わないという声もありましたが、今では便利に活用していただいています。15人のグループで申し込めば、1人あたりたったの100円で広告を放映できます。この記事をお読みの皆様も、どうぞみんなの広告を使ってください。

 取材を終えた私とS記者は、藤沢駅に移動して、しばらくの間みんなの広告のプラズマディスプレイを眺めていた。色々な広告に混じって、阿由葉さんが作った江ノ電沿線の花便りも放映された。江ノ電を擬人化した可愛らしい広告であり、見ているだけで心が温かくなった。