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 「うわ~」「すげ~」「うそ~」「作り方を教えて~」取材のために先生が作ってくれた豪華な”Hello World”のCGに歓声を上げる学生たち。キラキラ輝く彼らの姿を見て、私とS記者は、大いに感動させられた。日本には、まだまだこんなに向学心のある若者たちが大勢いたのです。自分のやりたいことがあって、そのために一生懸命がんばっている。君たち、本当に素晴らしいよ!

 私たちがおじゃまさせていただいたのは、JR御茶ノ水駅のすぐ近くにある通称「デジハリ」ことデジタルハリウッドの東京本校だ。Web、CG、映像、グラフィックデザイン、プログラミングなどの分野で人材を育成する学校である。専任講師の小倉以索先生と4人の学生さんたち(川端優子さん、岡 桃子さん、鵜飼美生さん、佐藤 譲さん)に、入学した目的と将来の夢を語っていただいた。なお、名物コンピュータなるものは登場しません。

なぜこの学校に入学したのですか?

 まずは、学生さんたちに、デジハリに入学した目的を聞いてみよう。

川端:私は、これまで音楽を作ってきました。自分の作った音楽のイメージに他人が勝手な絵を付けるのが嫌で、デジハリに入ってCGを学ぶことにしました。ポップス系の音楽が好きなので、たぶん抽象的な絵になりそうです。

岡:自分の生涯において一度ぐらいは、映画を作ってみたいと思って入学しました。自伝ではなく、エンターテイメント系の映画です。何て言うか、見る人が幸せになるような...。

 皆さんは、ちゃ~んと明確な目的があって入学されたのですね。でも、まだまだ具体的な作品のイメージがつかめていないのかな。先生、どうすればいいでしょう?

小倉先生:頭の中にあるイメージを具体的な作品にできないのは、基本的なテクニックがないからです。まずは、半年ぐらい時間をかけて基本を学びましょう。たとえば、演出論という授業があります。あらゆる作品に当てはまるわけではありませんが、まったくゼロから考えるより、既存の方法論を参考にした方がいいはずです。

 なるほど! どんな分野にも基礎というものがあるんですね。他の二人も、入学目的を聞かせてください。

鵜飼:私は、すでに仕事をしていて、DTPの経験があります。2Dの世界でやっていますが、これからは3Dの作品も作れるようになりたいと思って入学しました。もっとスキルアップしたいのです。

佐藤:まわりの友達が就職を決めるようになり、自分もこのままフリーターではいられないと思って入学しました。CGを生涯の仕事にしたいです。映画関係に就職したいと思います。

 芸術家を目指しているではなく、食べて行くための仕事として真剣に取り組んでいるのですね。ちなみに、デジハリでは、1994年の開校から10年間でおよそ3万人の卒業生を世に送り出しており、その中の7~8割は、自分が希望した職業に就いているとのことだ。TV番組、コマーシャル、携帯サイトなど、現在の日本では、まだまだコンテンツが不足しているそうで、コンテンツ製作者のニーズが高い。コンテンツをビジネス化できるプロデューサ的な人材も求められている。

学びの中に見つけた感動は何ですか?

 やる気満々の個性的な若者たちが集まった学校に入って、様々な発見や感動があったと思います。いつくか教えてください。

川端:学生だけじゃなくて先生も含め、多くの人たちと触れ合うことで、発想の幅が広がったと思います。自分が、独りよがりだったことに気が付きました。今までは、自分のことを天才だと思っていたんです。

岡:技術的なことはもちろん、コミュニケーション作りが上手くなり、自分が人間的に成長したと思います。実は、かつて美大に行っていたのですが、その頃は人前でプレゼンする機会がなかったのです。

...ということですが、先生いかがでしょう?

小倉先生:川端さん、自分のことを天才だと思ってもいいし、凡人だと思ってもいい。自分自身に対しても、視点を多く持つことが重要です。岡さん、アートとエンターテイメントは、対極に位置するものです。アートは自分のためのもので、エンターテイメントはお客様のためのもの。自分の目的がどっちなのかを明確にしましょう。

 さすが先生、いいアドバイスですね! 他のお二人も、発見や感動を聞かせてください。

鵜飼:女性が多いので、一緒に仕事をしようと言う仲間ができました。いろんな考えを持った人がいて面白いです。

佐藤:ボクは、まだ入学したばかりなので、何もかもが新鮮です。たとえば、物にはすべて角がある(角に丸みが取ってある)ことを知りました。これは、単に安全というだけじゃなくて、見た目に美しい光の線ができるからなんです。今までの自分には、物を見る力がなかったと思います。

 いいですね! いいですね! 私も、プログラミングを始めたばかりの若かりし頃は、見るもの触れるもの、何もかもが新鮮で興味深かったです。今でもプログラミングの世界には新しい技術が続々と誕生しているのに、感動することを忘れていたようです。

卒業後にやりたいことは何ですか?

 それでは、学生の皆さんに最後の質問です。卒業後に何をしたいですか? こういう職業に就きたいとか、こういう作品を作ってみたいという具体的なプランを教えてください。

川端:プロダクションを作って、アーチスト軍団の社長になりたい。

 おお、ビッグな夢だね。きっと叶うよ!

岡:やりたいことが多すぎて未定です。だけど...、ゲーム業界かな?

 いいぞ、大ヒットを目指してください!

鵜飼:私は、作品ではなく、就職のことしか考えていません。ここに入って、仕事の選択の幅が広がっちゃったのですが、何人かのグループで、TV番組や映画を作りたいです。

小倉先生:卒業後は、デザイナとペアで仕事をするオペレータになって修行する人が多いです。下積み経験を経て、やがて人をまとめる立場の仕事ができるようになります。

佐藤:実は今日、アニメの1回目の授業だったんです。将来は、個人的にクレイアニメーションを作ってみたいと思います。仕事としては、映画関係です。

小倉先生:どんな業種でも同じだと思いますが、誰でも仕事(エンターテイメント)と趣味(アート)を分けたいと思うものです。しかし、それが難しい。どちらかが犠牲になってしまうようです。

1つのことに没頭して自己表現の道具とする

 学生さんたちとはお別れして、小倉先生にデジハリのことを色々と教えてもらった。デジハリには、趣味の短期コースから、6ヶ月の昼間/夜間のコース、1年制の本科コース(入学試験あり)、マンツーマンの個人コース、通信コースなどがある。2004年4月から大学院ができ、2005年4月からは4年生の大学もスタートするそうだ(この記事の取材を実施したのは、2004年12月です)。学生の多くは、主にWebデザイナまたはCGクリエータといった専門職に就くためのスキルを身に付けたくて入学している。学生の平均年齢は約26歳で、50代の学生もいる。半数は、すでに仕事を持っているそうだ。TV局に就職したいため、普通の大学を1年間休学して入学した学生もいる。現在の日本の大学には、エンターテイメントの作り方やプロデュースに関する授業がないからだ。

小倉先生:デジハリの学生は、とにかくモチベーションが高い。授業でも質問が多い。作品作りが好きで好きでしょうがなくて、週に2~3日は徹夜する根性もある。がんばり屋なのです。デジハリの本科で1年間学べば、CGツールの使い方、デッサン力、ストーリーの作り方、人を楽しませるカメラアングルなどをマスターできます。ただし、アイディアや発想を教えるのは難しいことです。技術は練習すれば身に付きますが、アイディアは経験から生まれる場合が多いからです。たとえば、デジハリの卒業生である真島理一郎君の作品でDVDが15万枚も売れた「スキージャンプ・ペア(もしも2人組で行うスキーのジャンプ大会があったら...、という楽しいCG作品)」は、決して技術的に優れたものではありませんが、アイディアが素晴らしかったから大ヒットしたのです。真島君は、かつてテニスに没頭していたのですが、何らかの理由で挫折し、その代わりにCGの道を選びました。彼のように、1つのことに没頭でき、それを自己表現の道具として人を楽しませようとする気持ちのある人が、よい作品を作れます。

 よい作品を作れる条件は、そのままプログラミングの世界にも当てはまると感じた。プログラミングが好きで好きでしょうがなく、1日中コードを打ち込み、気が付いたら徹夜してしまった若かりし頃は、自分でも本当に満足できる素晴らしいプログラムが作れたものだ。きっと、読者の皆様にも同じような経験があるでしょう。今日は、元気な学生さんたちに触れて、まるで目が覚めたような新鮮な気持ちになれました。学生さんたち、これからもがんばってください。オジサンも、自分の世界でがんばるぞ!