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 今回は,情報戦略について考えてみましょう。

「チョット,言わせて」コーナー:情報戦略は経営戦略に合わせてというが

 「情報戦略を考えるとき,経営戦略を確認することから始めるというが,そもそも経営戦略がハッキリしない」,「うちの会社に経営戦略があるのだろうか」「方針がころころ変わって困る」との言葉を,CIOや情報システム部門の責任者から,多く聞かされます。

このような経営戦略に合わせて,情報戦略を立案していたら,継続性が成り立たなくなるし,情報システムの構造も整然としない,構築においても,メンテナンスにおいても非効率なものになってしまうことが,容易に予想できます。

そもそも情報戦略を策定するステップとは

 このような状況の中で,適切な情報戦略をどのように立案したらよいのでしょうか。

 基本に返って見れば,(1)ITの最新動向を参考にしての経営戦略の立案,(2)経営改革を考慮した次期ビジネスモデルの策定,(3)それを実現する情報戦略の策定,という手順を踏みます。

 このときの有力なツールが,バランススコアカードです。(1)の経営戦略の立案から,(3)の情報戦略の策定まで,一貫して,バランススコアカードを活用できます。

経営戦略は,バランススコアカードで表現される

 初めに経営戦略ですが,これは,企業のドメイン(事業基盤)を前提に,企業価値を実現するためのシナリオを表現したものと言うことができるでしょう。「適正な利潤追求」を支える(財務の視点)「顧客への価値提供」「顧客満足の実現」「ロイヤルカススタマーの増大」(顧客の視点)があります。

 次に,この「財務の視点」と「顧客の視点」を実現するためには,「顧客価値創造プロセス」である生産,販売,物流などが,的確に運営されていなければなりません。

 顧客管理プロセスや調達プロセス,研究開発プロセス,従業員の能力管理プロセス,ITプロセス,財務統制プロセスなど総合した内部統制プロセス(業務など内部プロセスの視点)が重要であることは,最近の会社法でも強化されました。

 バランススコアカードで4つ目の視点は,「学習と成長」であり,先にあげた内部プロセスを確実に実施する担い手である個人と組織の学習と成長を明確にすることを求めています。これらをまとめ,経営戦略の全体について,一つのバランススコアカードで表現することが可能です。

 「経営戦略がハッキリしない」「うちの会社にあるのだろうか」「方針がころころ変わって困る」というのであれば,現状の経営戦略を確認するところから始めるのが良いでしょう。

 また,経営戦略の立案の場面では,ITの最新技術を参考にして,自社のビジネスモデルの改善方向を検討することを意味します。できれば,年2回のミーティングとして定例化することが望まれます。

情報戦略も,バランススコアカードで表現する

 経営戦略は,情報戦略の自由に発展する要素を残しながらも,それを規定します。

 情報戦略は,必ずしも経営戦略にすべてを規定される訳ではありません。このことは,今後,重要な経営の視点なのですが,別の機会に説明させていただきます。

 今回は,「経営戦略に規定される情報戦略」について,説明します。それは,「経営戦略の実現に貢献する情報戦略」という一般的な情報戦略のことです。

 先にバランススコアカードで表現した経営戦略を実現する訳ですから,情報戦略も同じ戦略テーマを目的とします。

 この図に示すように,情報戦略を策定するときには,バランススコアカード表現した経営戦略のテーマと情報戦略の具体的なテーマとは,しばしば同じになります。



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 横軸には,中期的な情報投資の予定金額を記載します。

 仮に,経営戦略をバランススコアカードで表現していない企業でも,情報戦略をバランススコアカードで表現することは,意義のあることです。情報投資の全体を把握し,それを経営目的の実現方向にコントロールするためのテンプレートになるからです。経営戦略も情報戦略も一過性で無く,継続性を持つべきですから,当然のことなのです。

特に,「学習と成長」には,手を抜かない

 情報システムを導入しても「利用が進まない」「活用できない」などということが,現実には起こっています。最悪なケースは,「本稼働できなかった」「期待通りの成果を生むどころか,かえってマイナスではないか」という声が,経営者から上がることです。

 これらの原因は,どこにあるのでしょうか。

 そもそもITプロジェクトを開始する時に,参加する現場メンバー,ビジネスオーナーなどの利害関係者全員への教育が不十分であったといえます。さらに,現場への実装段階でも教育不足があったことは,否定できないのです。

 どのように教育するかについては,別の機会に譲りますが,今回は,「会社として計画的にIT活用教育を実施していないことが,原因である」ということを理解しておきたいものです。

 IT活用に関する学習と成長がない組織では,良い情報戦略の立案どころか,その活用も望めないのは,明らかです。

 そのために,CIOは,情報システム部門メンバーや他の役員クラスとは違った「知識と経験」が必要です。日経情報ストラテジー7月号から始めた「CIOチェックシート」の連載では,ここを説明して行きます。

CIO川柳コーナー

 前回の川柳である「プログラム あいつのだけは 見たくない」の意味するところを説明します。

 同僚の視点で,「プログラムには美学がある」ということにこだわる技術者もたくさんいます。SQLでもJavaでも,そのソースリストを見たとき,「見た目が美しく」「無駄な記述がない」「分かりやすい」などが,その基準にあるようです。実際,私のプログラマー時代は,COBOL,FORTRANの時代でしたが,やはり,自分のプログラムが,「美しい」と思っていました。バグがあるかないかは,結果任せのところもあるのではないでしょうか。

 もう一つの意味は,「あいつの作ったプログラムは,メンテナンスしたくない」ということを表しています。ドキュメントレスのプログラムほど,恐ろしいものはありません。

 他人の作成したプログラムの修正,改善は,「モグラたたき」で終わればまだ良い方です。「本稼働したら暴走した」「何年かしたら発症した」なんてことも聞いています。

 CIOは,このような状況の未然防止にどのように対処したらよいでしょうか。

 CIOが内部統制上とるべき内容の一部は,以下のとおりです。

(1)プログラム作成ルールを定め厳格に徹底させる。
(2)第三者のチェツクをそのルールに含める。
(3)他人が作成したプログラムの改定に成功したら評価する。

 この句は,次回に解説します。皆様も,考えてください。