PR

 マイクロソフトはユーザー・インターフェイスのローカライズに熱心である。日本語訳に関してはいろいろ言われるが,ローカライズに努力していることは認める。

 特にOSに関しては「国際化」というものを強く意識している。特に,Windows 2000以降は,英語版Windowsにも日本語キーボード・ドライバと日本語フォントが付属している。
 英語版Windows XPに,MUI(Multilingual User InterfaceまたはMultilanguage User Interface)機能(参考資料)を追加すれば,メニューやヘルプも日本語化できる。ただしMUIは一般に小売されておらず,ボリュームライセンスプログラム契約が必要である。さらに,Windows Vistaでは,英語とその他の言語の区別がなくなる。つまり

「英語版Windows Vista = 基本Windows Vista + 英語UI」

「日本語Windows Vista = 基本Windows Vista + 日本語UI」

という形態になる(参考資料)。

 通常,メニュー項目は単語の羅列なので,概ね単純な翻訳になっている。一部に「日本語版では訳しすぎだ」という意見もある。しかし,たとえば「Cut & Paste」を「切り取りと貼り付け」としたのは,英語を知らない人の利用を考えれば正しい。それに,英語版Windowsを使える程度に英語を知っている日本人なら,「切り取りと貼り付け」が「Cut & Paste」になることはすぐ分かる。そのため,普段日本語版Windowsを使っていても,それほど違和感なく英語版Windowsを使えるだろう。実際,私はたまに英語版Windowsを使うことがあるが,それほど戸惑ったことはない。

 そう思っていたので,昨年「Digital Image Pro 2006英語版」を購入した。英語版ソフトを安く買える機会があったからだ(もちろん合法的にである)。さすがに,Microsoft Officeを買うのはためらった。実は,自宅では未だにOffice XPなので,Office 2003が欲しかったことは事実である。しかし,英語版Officeに日本語の文書テンプレートがついているとは思えない。それに比べて,写真編集ソフトなら,日本語と英語で機能差はないだろう,と思ったのだ。

 ところが,実際に英語版を使ってみると何となく使いにくい。微妙に言葉が違うのである。知らない単語(たとえばHue,色合い)が多いせいもあるが,それ以上に言葉が全然違うのである。たとえば,日本語版の「デフォルメ」は「Distort」である。「ディストーション」はデフォルメというより,「歪み」だと思っていた。また,「トリミング」は「Crop」である(写真1,2)。そういえば,ニコンの一眼レフ・デジカメ「D2x」には,中心部分だけを切り出して高速に記録するモードがある。これは「クロップモード」だ。英語の「trim」は,実際に切り取るというイメージが強いようで,映画のフィルム編集に使うらしい。そういえば,イヌの毛をカットする職業は「トリマー」だ。


写真1:Digital Image Pro 2006英語版
[画像のクリックで拡大表示]


写真1:Digital Image Pro 2006日本語版
[画像のクリックで拡大表示]

 外来語が,原義と微妙に異なって来るのはどこの国にでも見られる。外来語や専門用語は何でもカタカナにすればいいというものではない。あたりまえの話だが,改めて翻訳の大変さを思った。