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 新たなお客様を担当することになった方や、転職や人事異動で新しい組織に仲間入りした方、新入社員のひとも、これから活躍するステージとなる現場の雰囲気はいかがでしょうか。イイ感じですか?違和感だらけですか? 

なんじゃこりゃ?!

 Nさんがはじめて現場を訪れた日は、こんなふうでした。

・フロアに入って、まず目に飛び込んできたのは、「創造と変革」と大きく書かれたポスター。そういえば、会社案内にもそう書いてあったな。

・9時始業のはずなのに、8時30分に来たら、もう皆すっかり仕事を始めているみたい。実際は何時からやってるんだろう?

・朝礼が始まった。「創造と変革!」全員で唱和か。なんだか気恥ずかしいけど、こうやって声に出すことで、各々が意識して仕事をするってことかな。

・部内の会議が始まった。Aさんが社内手続きの新しい方法を提案したけど、「今のやり方が定着しているし、他部門の了承も必要だから、今回は見送ろう」という部長の一言で終わった。こういう提案は、「創造と変革」じゃないの?

・会議が終わってから、課長がAさんに話している。「あの手続きは、うちの部長が導入したものなんだ。それを変えようなんて言っちゃまずいよ」。じゃあ、他の人が導入したものだったらどうなんだろう?

・隣の部屋から、別の部署の人たちが出てきた。ジーンズとTシャツで、みんなカジュアルな服装だ。僕も明日からそうしようっと。あ、でも、僕の部のひとはみんなスーツを着ていたな。自分だけジーンズじゃ浮くかな。

・ランチタイムだ。社員食堂があって便利だけど、すごく混み合っているな。あれ?役員の人たちは、専用の食堂があるんだ。へぇ・・・。

暗黙の了解

 お客様企業や協力会社、自社内の他部門(営業、開発など)など、はじめての組織(集団)に接するとき、殊に仲間として共同作業をしようとするとき、新鮮な驚きや違和感をもつことがありますよね。「イイ感じ」「訳がわからない」「耐えられそうにない」etc。でも外からみれば「?!」なことも、内部の人にとっては当たり前のことってありますよね。

 会社案内のように物理的に存在するもの、意図的に表明される「~が大事ということになっている」という価値、それに、事実上重視されている価値(暗黙の了解)など様々なものに特徴が表れます。なかでも、意思決定において何が重視されるか、時間の感覚、上下関係のあり方、フロアレイアウト、服装などなどにみられる、仲間内でごく自然に当たり前のこととされているような「暗黙の了解」が、その組織の雰囲気をつくっているようです。企業文化とか組織文化といわれるものですね。

 例えば、同じコーヒーショップでも、スターバックスとドトールでは、店員さんの話し方や動作も含めてそれぞれ独特の雰囲気があるように、IT企業のなかにも、また同じ企業内でも部署によって様々な文化がありそうです。多分それは、その組織が、社会や顧客、競合他社、仕入先、社員などとの関係をうまく構築して、その組織を維持継続するために、年月をかけて培ってきたものでしょう。そもそもその組織が誕生した理由や存在目的に至るかもしれません。また、組織内のひとの間に、わざわざ説明するまでもないというほど浸透しているからこそ、組織として独自の強みを発揮して、今日まで生き延びてきたのでしょうね。

中国のITプロも。違和感にこそ鍵が。

 そうだとしますと、外部から来てみると「?!」なやり方にも、きっと何か意味がある(あった)はず。はじめは違和感いっぱいかもしれませんが、先ずはその流儀でやってみるのも、そこのひとたちと共に成果を生みだすために、必要なステップかもしれませんね。まずカタチからはいってみるとか。そういえば、中国やインドなど諸外国のITプロフェッショナルのなかにも、日本企業とのビジネスにあたって、日本流の挨拶の仕方や敬語の使い方などを習得される方々がおられますよね。

 より大切なことは、なぜそうしているのかを理解することですね。会社案内などに書かれている文言としてではなく、その組織の存在理由や目指してきた姿、これまでの出来事などを深く理解することは、新しい何かを提案し、共に実現していくために、とても意味のあることのように思われます。

 そして、「どう考えても変だ」いうときは、率直に伝えてみることが大事だと思います。「暗黙の了解」とされてきた考え方や方法が、いまとなってはうまくいかない原因になっている可能性もありますし、外部から来たひとにこそ感知できる重要な要素があるかもしれません。その辺りに、外来者の存在意義や提案の鍵もありそうです。

 さて「暗黙の了解」の理解の必要性は、ITビジネスの重要な局面でも結構あるような気がします。つづきはまた今度。

 それでは、今日もイキイキ☆お元気に。