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 ユーザー企業のCIOは気楽な商売らしい。「国内上場企業CIO意識調査」を読むと、思わずそんな感想を言いたくなる。アビーム コンサルティングが行った調査結果だが、IT投資の成果が「期待どおり」とするCIOやIT部門長は30%にすぎず、後は「やや不十分」か「不十分」。4%程度だが「分からない」という“スーパーお馬鹿”な回答もあった。結果責任を負わなければならないビジネスピープルから見ると、まことにもってうらやましい限りである。

 アビームによると、この結果は2年前に実施した調査と変わっておらず、IT投資効果を上げるという課題は未だに解決されていないそうだ。おいおい、少しぐらい改善してくれよ。うーん、やはりCIOはお気楽な商売だ。営業の人なら、営業成績が期待通りでなかったら、つまり未達だったら、当然厳しく責任を問われる。工場で歩留まりが期待通り改善でなければ、大騒ぎである。そういえば、投資効果が期待通りでないとしてCIOが解任された話は、寡聞にして聞いたことがない。

 それにしても、わずかとはいえ、IT投資の成果が分からないと平気で言えるCIOやIT部門長って、いったい何者? 「あたな、ITの責任者なんですよ!」とツッコミを入れたくなる。匿名のアンケートだとしても、普通恥ずかしくて、回答できないよ・・・と思ったら、この調査は、2000社を対象に実施したが、回答企業は141社と極めて回答率が悪い。おそらく、回答を拒否した企業のCIOは、自社のお寒いIT投資の現実を前に回答をためらったのだろう。

 当たり前だが、CIOやIT部門はIT投資や情報システムに直接の責任を負う。よく、ITベンダーやITサービス会社のことを「ソリューションプロバイダ」と呼ぶが、IT部門はユーザー企業の中のソリューションプロバイダである。そのソリューションプロバイダが、投資効果に疑問符が付く、あるいは投資効果が全く分からないシステムを、エンドユーザーにせっせと提供し続けているわけだ。

 通常、こうした投資効果の伴わないシステムを作ってしまった場合、CIOや情報システム部門は、開発にあたったITベンダーを悪者にする。しかし、プロジェクト管理の失敗などテクニカル面での失敗ならともかく、IT投資が業務面で期待通りの成果を上げられないことまで、ITベンダーに責任を押し付けられてはたまらない。こういうCIOに限って、何か問題が発生したら、原因究明もしないうちに「ベンダーへの損害賠償も辞さない」なんて平気で言う。やれやれである。

 もちろん、立派なCIOを何人も知っているし、「不十分」という答えの中には厳しく自己評価しているケースも多数含まれているのかもしれない。でもね、この数字は悪すぎるでしょう。しかも、マクロ的とはいえ、2年間からちっとも進歩していないなんて、いったいどういうことなのだろうかと思う。結局のところ、IT投資に対する結果責任が問われないのだろう。結果責任の問われないところに、プロはいない。だからIT部門の地盤沈下は止まらないと言ったら、言い過ぎか。