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 米Googleが米国時間6月12日に“Google Maps for Enterprise”を発表しました。“for Enterprise”をテーマとする本ブログとしては,触れないわけにはいきませんね。

 昨年末来,講演やパネルなどで多くの方からWeb 2.0的サービスが実ビジネスで使えるのかという,痛切な問いかけをいただいています。「マッシュアップして作り上げたWeb 2.0的なWebアプリケーションの素晴らしさは分かる。しかし,そんな無保証の(いつ止められても文句の言えない)Webサービスを,社内の基幹システムに組み込みようがないじゃないか?」「われわれは,自前の部品と買ってきた部品を苦労して統合し,システムを責任もって販売している。Google Mapsのようなものを組み込んでしまったら,どうやって外販できるんだ?」---。以下ではこれらの疑問を念頭に,Google Maps for Enterpriseの要点をまとめてみたいと思います。

 まず,「何をするサービスであるか」ですが,基本的には従来の“for Enterprise”無しのGoogle Mapsと同じです。まだ触ったことのない方は,「百聞は一見にしかず」ということで,ぜひGoogle Mapsのページにアクセスしてみてください。住所をフォームに入力して検索ボタンを押したり,左上のコントロール(制御ボタン)をいろいろ触ったり,地図上をクリックしたまま十字カーソルの状態で地図全体をグリグリ動かしたりすることで,Ajaxの威力を体感できるでしょう。

 ではマッシュアップしたい開発者はどのようなコードを書けばいいのでしょうか。これについては,とりあえず拙記事 および,必要に応じてそのリンク先のドキュメントをご参照ください。ある程度のイメージがわくことと思います。

 さらに進んで,どのようなことができるか,具体例が必要でしたら,例えば,「Ajax逆引きクイックリファレンス」(古籏一浩著,毎日コミュニケーションズ発行)のChapter 8を参考にするといいでしょう。単純なマッシュアップの座標取得を超えて,地図と衛星画像を何かのイベントに連動して自動的に切り替えるためのサンプル・コード,情報ウインドウ(漫画の吹き出しのようなオブジェクト)や線の表示方法,表示倍率を取得して連携動作を切り替えるためのヒントなどを掲載しています。

 Googleは,“for Enterprise”となったことで,サービスの継続性をはじめとする「品質」がビジネス水準になった,と主張しています。ライセンス条件に応じて対価を払い,サポートを受けることができる「商品」に進化しようとしている,と言ってよいでしょう。

 社内システム向けにも,有料無料を問わず,公開サービスにも安心して使える,とうたっています。冒頭に挙げた2つの大きな疑問に対して,「いずれも大丈夫!」と機先を制して断言したかっこうです。個々の技術の検証や,継続性をはじめ,品質への合意(SLA:Service Level Agreement)を中心とする法的側面の検証は必要ですが,これらのハードルを乗り越えて高品質のサービスを年間1万ドル+ページ・ビューなどに応じた料金で商用サポートすることを宣言したわけです。

 次回以降,Google Maps for Enterpriseを活用したビジネス・アプリケーションについて,Google自身のビジネス・モデルについて,そして,本件のインパクト,“破壊者Google”の本領発揮と考えられる根拠などについて書いてまいりたいと思います。

 最後に,お断りすべきことを1点だけ。Googleによると,現時点では,このサービスは米国とカナダだけを対象としています。残念ながら日本国内の企業は契約できません。