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 最近、ある証券アナリストの人から、「ITサービス会社の年齢別の人員構成に着目すると、いろんなことが見えてくる」という話を聞いた。特に興味深かったのは、38~42歳の人員に凹みがあるITサービス会社が多く、プロジェクト・マネジャー不足の懸念があるというくだり。では、何故その世代の人員が少ないのか。その話を聞いて、私はピンと来るものがあった。

 この世代の技術者が少ない理由を、彼らの新卒採用時にまで遡る必要はあるまい。15年前の1991年が「ダウンサイジング元年」で、オープン系への流れが加速するのはそれ以降の話なので、彼らの採用されたのは、まだ平和な“メインフレームの時代”だ。それよりも直近、ユーザー企業がIT投資額を抑制し、「ITデフレだ、オフショアだ」と騒いでいたころの出来事の影響の方が大きいだろう。

 その頃、彼らの年齢はちょうど30歳台後半に収まる。そこで思い出されるのは、ITサービス業界に古くから伝わる「35歳定年説」。ソフト技術者は若くないと、ITの進化についていけないから、35歳ぐらいで使いものにならなくなる、という俗説だが、実際にはそんなことはあり得ない。

 そのカラクリは 以前にも書いたが、簡単に言うと次の通りだ。人月ベースの商売のITサービス会社、特に下請企業では、技術者の人件費は30歳台で顧客から受け取る料金と見合わなくなる。つまり、ソフト技術者は新技術への対応能力からではなく、経済的理由から35歳頃から“使いものにならなくなる”のだ。

 さて、不幸なことに30歳台後半で、ITデフレの時代を迎えたソフト技術者はどうなったのか。35歳定年説の亡霊は、依然として健在だ。想像でしかないが、多くのITサービス会社で、この世代が集中的にリストラの対象にあった可能性がある。あるいは、覇気ある人は愛想を尽かして、ITサービス業界から出て行ってしまったのかもしれない。

 その頃、ITサービス業界でも相次いで導入された成果主義人事も、その傾向に拍車をかけた可能性がある。外資系企業や巨額の赤字に苦しむ企業ならともかく、成果主義人事というのは必ずしも成果主義にならない。いずこも同じだが、激変緩和措置とかの名目で、中高年に従来の待遇が保証される“逃げ切り組”を生む。最も割りを食うのは、従来なら大きく待遇が改善されるはずだった30歳台の中堅である。

 これ以上の話は想像に想像を重ねるだけなので、この辺りで止めるが、プロジェクト・マネジャーとして第一線で活躍してもらわなければいけない世代の数が凹んでいるとしたら、それは大きな問題である。料金はそれほど上がらないのに、案件の数は大きく増えた昨今、この世代の技術者は仕事に忙殺されていることだろう。モチベーションを維持できるだけの待遇を、果たして与えられているのだろうか。