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"上級システム管理者"を目指す者にとって、英語で書かれたマニュアルを読解することは必須のスキルですが、実際の現場では、「僕は英語が全然読めないので勘弁してください」という悲鳴に近い声がよく聞こえます。

その人たちの行動を見ていると、英語のマニュアルを読まなければどうしても先に進めないシチュエーションに遭遇すると、多くの場合、ネット上からマニュアルを落としてきて、それをそのまま自動翻訳機にかけようとします。ふむ、彼らは英文マニュアルを日本語のレベルで対処しようとしているわけですね。しかし、皆さんも経験があるかと思いますが、英日翻訳は多くの場合意味不明な翻訳結果を返すので、結果としてこのアプローチは失敗に終わることが非常に多いです。

ということは、このアプローチは、もし自動翻訳機の翻訳精度が上がれば解決する問題でしょうか。私は違うと思っています。

英語が読めないという彼らに、日本語のマニュアルをよく読めば解決できる課題を与えたとするとどうなるか。おそらく、マニュアルを読まずに、ネット上で"答え"そのものを検索しようとするでしょう。もしそれで運良く答えが見つかると、彼らはすべての問題が解決できたかのごとく、晴れ晴れとした顔で、その答えだけを携えて報告しに来ます。きわめて表面的な理解です。いや、ひょっとしたら彼らは何も理解していないのかもしれません。

ここで考えたいのは、「英語が全然読めない」と言っている人たちの中には、英語以前に日本語すらきちんと読めない人がかなり含まれているのではないか、ということです。彼らに共通するのは、物事の本質を理解しようとせず、問題の解答だけを求めようとする姿勢です。物事の本質を理解しようとする姿勢がある人は、マニュアルをじっくり読み込む習慣が身に付いている人だ、と言えそうです。

日本語マニュアルを読み込む習慣がついている人は、必要な情報を効率よく探し出すコツがつかめています。それ故、仮に対象が英語マニュアルになったとしても、少なくともどこにキー・ポイントが書かれていそうかまでは、本文を読まずともある程度経験やカンでおおよそ推測ができます。反対に、日本語マニュアルすらちゃんと読み込んだことのない人にとっては、そういった経験やカンがないため、キー・ポイントまでなかなかたどり着けないまま挫折することになります。すなわち、情報検索という基礎スキルが身に付いていないと英語マニュアルは絶対に読めない、という推測が成り立ちます。

さて、ではもし情報検索という基礎スキルが身に付いていない人たちを一人前に育て上げなければならないとしたら、どうすればよいか。私の答えは、残念ながら、「無理かなぁ」です。基礎が身に付いていない人たちは、絶対に応用レベルまで到達できないので、とにかく基礎スキルを身につけてもらう必要があります。ですが、正直、会社は学校や家庭ではないので、そこまで面倒見きれないです。強いて彼らに対して行える精一杯のアプローチとしては、情報検索という基礎スキルが現在は身に付いていないということと、期限を決めてその日までに一定レベルに到達できなければ他の道に進むことを推奨する、ということを、本人にはっきり伝えることくらいだと思います。