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 ハブから火が出てるっ!洗面所の水が止まらないっ!トイレから戻ると椅子がないっ! 新人ITプロフェッショナルのHさんたちは、日々大変な出来事に遭遇していました。

「常識」が通用しない

 研修中のある日のこと、研修室からメールを送信しようとすると、どうも回線が切れているようです。確認しようと線をたどっていくと、建物の外壁にいくつもの線がゴチャゴチャとぶら下がっており、雨に濡れたハブがバチバチッ!と火花を散らせているのが見えました。

 マジかよ・・・。呆気にとられる新人ITプロ数十名。実は彼らは、日本を離れ、異国で言語講習を受講しているのでした。

 早速、担当窓口へ申し入れをしました。「すぐ対応します」。でも、結局その日はそのままでした。ここでの「すぐ」はその日中ではないことを、Hさん達は知りました。翌日見に行くと、確かに作業が行われていましたが、その内容は、問題の箇所にビニールシートを被せただけというものでした。ここでの「対応します」は、根本的な解決ではなく、指示されたところに最小限の処置をすることだとわかりました。

 別の日は、夜になって寮に帰ると、個室の洗面所で水が溢れ出していました。修理を頼んでもすぐに対応してもらえそうになく、このままでは一夜を過ごせないと判断し、仲間に助けを求め、皆で蛇口や管のつなぎ目などを調整して、どうにか水を止めることができました。困ったときは助け合うこと、知恵を出し合って解決することを体験しました。

自分たちで生きのびる

 ある休日、仲間たちと街へ出かけました。屋台でおいしそうなファストフードを見つけ、見よう見まねで食べました。とてもおいしかったのですが、その晩みんなでお腹をこわし、病院のお世話になることになりました。そういえば、手づかみでものを食べてはいけないと、注意を受けていたことを思いだしました。地元のひとは大丈夫でも、不慣れなひとは体調をこわすことがあると、身をもって知りました。

 毎日の講義は英語で行われましたが、Hさんたち一行はそもそも英語が得意とは限らないメンバーです。だんだん理解できなくなるひとや、そのことで気持ちがしんどくなるひともでてきました。チーム分けや、決まったリーダーがいたわけではありませんでしたが、みんなで集まって相談し、寮にある談話室で、英語の勉強会を毎晩自分たちで行うことを決めました。なかには、もともと英語が得意なひとや、学生時代からプログラム言語に詳しかったひともいたので、英語に限らず、いろいろな面で、情報を共有したり助け合ったりすることが始まりました。

サバイバルだけでなく

 これらのエピソードは、Hさんご自身から、新入社員時代のお話としてお聞きしたことです。最も印象に残ったことは何ですかとお尋ねしたところ、リーダーや班長のような役割が当初から決まっていたわけではなく、初めは一人ひとりバラバラだったのが、自然なかたちで協力しあったり、思わぬひとがリーダーシップを発揮しはじめたりしたことだと語ってくださりました。

 新人ITプロに対する初期の研修を、このような形で実施された背景には、様々なご意向がおありだったことと存じますが、日本と比べ必ずしも快適とはいえない環境でのサバイバルとともに、異文化に対する適応の体験、リーダーシップが生まれるプロセスの経験など、大変貴重な学びを得られたことと思われます。

パワフルなITプロに

 その後、Hさんたちは日本に戻り、様々な分野で元気に活躍されているとのこと。将来は、世界のあらゆる土地でITプロフェッショナルとして活躍する可能性があるそうです。たとえ海外に赴任することがなくても、異文化とうまくやっていく力や、様々な形でのリーダーシップ発揮によって、多様な顧客や同業他社などと協力してビジネスを展開するにあたり、パワフルなITプロとして大きく活躍されるものと期待されます。

 このような機会は、どこの企業でも提供できるというものではありませんが、異文化体験や、自然に発生するリーダーシップのような経験を若いうちにすることは、長くキャリアを歩むうえで、非常にラッキーなことと思われます。いま現在、実務や研修において、異文化やリーダーシップのことで苦労しておられる方は、大変な毎日かもしれませんが、教科書では学べない大事な力が日々身についていると信じて、ご自身の将来を楽しみに、ここをのりきってくださいね。

 それでは、今日もイキイキ☆お元気に。