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レポートウエア。トレンチコートにCCDカメラを埋め込み,360°の映像を撮影することができる。撮影した映像は,ヘッドマウントディスプレイの画面に映し出される。
レポートウエア。トレンチコートにCCDカメラを埋め込み,360°の映像を撮影することができる。撮影した映像は,ヘッドマウントディスプレイの画面に映し出される。
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キッズウエア。幼い子供に腕時計型のGPSを装着させるのが主な狙いであるが,子供服ということで遊び機能を服に盛り込んである。胸元のダイヤルを回転させることで,塗り絵をして遊ぶことができる
キッズウエア。幼い子供に腕時計型のGPSを装着させるのが主な狙いであるが,子供服ということで遊び機能を服に盛り込んである。胸元のダイヤルを回転させることで,塗り絵をして遊ぶことができる
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 機能性を重視したウェアラブル技術として,前回はウェアラブル冷房服を紹介した。この冷房服には,ペルチェ素子を服(ケープ)に取り付けることで,気温の高い屋外にいても快適に過ごせるという機能がある。ウェアラブルを考える際には,その機能や小型軽量であることの他に「ファッショナブルである」という点にも大きなポイントがある。普段はカバンやポケットの中にあって人目につかない携帯電話でさえも,そのデザインが消費者の購買意欲に訴えかけているようである。これが人目に触れる服であった場合,実際に身につけるか否かはそのデザインやファッション性にかかっていると言っても過言ではない。

 あらゆる分野をつなぐ架け橋を担うWINでは,システム開発担当の工学と,デザイン担当の美術(芸術)とを融合させ,その専門家が実際に一つのウェアラブル・ファッションを作り上げる試みを行った。3つのテーマに則したプロトタイプは,昨年度ロサンゼルスで開催された「SIGGRAPH 2005」にて発表を行い,奇抜で奇異になりがちなウェアラブルの世界に上品さを取り込んだ作品として注目を集めた。「スポーツウエア」,「レポートウエア」,「キッズウエア」と名づけた3つのプロトタイプはそれぞれ次のような機能を持っている。

スポーツウエア

 主にジョギングやウォーキングの際に身につける。運動中の生体情報をリアルタイムで計測し,天候や気温などの環境情報と組み合わせて運動に対するアドバイスをしてくれる。ウェアラブルによって,目に見えない専属トレーナーによるアドバイスが実現する。健康管理を実現するウェアラブルである。

レポートウエア

 トレンチコートにCCDカメラを埋め込み,360°の映像を撮影することができる。撮影した映像は,ヘッドマウントディスプレイの画面に映し出される。胸元のダイヤルを回すことで,見たい方向のカメラを選択することもできる。レポーターやイベントでの情報収集および情報発信を想定した服であるが,用途はそこにとどまらない。警察官や警備員の制服にこの機能を持たせることで,社会安全への貢献が実現できるかもしれない。社会の安全と情報収集・発信を実現するウェアラブルである。

キッズウエア

 子供が身につける防犯服(腕時計)である。携帯電話の操作ができない幼い子供に腕時計型のGPSを装着させるのが主な狙いであるが,子供服ということで遊び機能を服に盛り込んだ。胸元のダイヤルを回転させることで,塗り絵をして遊ぶことができる。現在は小型PC上で描画を行うが,将来的にはGPS機能付き腕時計型ディスプレイでの描画を目指す。

 冷房服を含め,いずれも今はプロトタイプの段階である。それゆえ機能とデザインのバランスがとれていない部分も課題として残っている。そこで,「機能だけで選ばれる服」や「デザインだけで選ばれる服」ではなく「機能が高く,おしゃれ」であるがゆえに選ばれる服の開発をこれからも続けていく。ウェアラブルを語る上でファッションを無視することは,もはや時代遅れであると言えよう。

 なお今回の執筆についてはWINファションプロジェクトの有光知里さんにお世話になりました。