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 最近気になっていたのが、にわかに活発になったリース会計見直しの動き。固定資産として貸借対照表に資産計上しなくてよく、税務上もメリットがあり、多くの企業が情報システムの導入などにリースを活用してきた。制度が変われば、こうしたメリットが失われるため、ITサービス会社の中にこれを商機と考える企業が出てくるだろうなと思っていたら、やはり出てきた。

 例えばインフォリスクマネージ。7月17日付の日本経済新聞でニュースとして取り上げられていたが、リース化しているサーバーなどのIT機器をユーザー企業から買い取るサービスを始めるという。同社はMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ)だが、買い取りサービスをきっかけにして、自社で提供するマネージド・ホスティング・サービスなどを利用してもらうことを狙ったようだ。

 こうしたリース資産のオンバランス化の話は随分前からあったやに記憶しているが、リース業界などが強硬に反対していたこともあり、これまで実現しなかった。今回は、日本の会計基準を国際会計基準などに鞘寄せしようという一連の取り組みの一環なので、間違いなく実現するだろう。考えてみれば、お金を借りてIT投資や設備投資をするのと同じことであるファイナンス・リースでも、資産計上しないで済むのはおかしな話だった。だから、これは必然の流れだろう。

 余談だが、こうしたファイナンス・リースの本質を見間違えた中堅・中小企業が、IT関連でトラブルに巻き込まれた、という話はよく聞いた。システムがバグだらけで満足に動かないのに安易に検収して、リース料金を支払う義務が生じた。一方、それを作ったITサービス会社はリース会社から開発費を回収できたため、バグ・フィックスを真面目にやらない。結果、ユーザー企業は使えないシステムを抱えて、リース料金を払い続けるハメになる-----そんな悲劇を以前どこかで読んだことがある。

 さて、リース会計見直しは、ITサービス会社にとって、どれほどの商機になるだろうか。税務上のメリットが失われることについては、税制上の取り扱いを調整することで解決を図る方向のようなので、これはユーザー企業にはおそらく無問題。残るは資産計上の影響だが、こちらはROA(総資産利益率)に響く。リース会計見直しの対象となる上場企業の中には、それを嫌って情報システムなどの売却・アウトソーシングに踏み切る企業が出てくるかもしれない。

 問題は、どれくらいの数の企業がその方向に動くかだが、さすがにこれは分からない。ただ中長期的には、IT資産を持たざる方向に棹差すことは間違いないだろう。IT資産のオフバランス化は日本でも長期トレンドだが、これまではリースという“擬似オフバランス”が可能だったこともあり、欧米に比べればそれほど進展していなかった。SaaS時代に向け、リース会計の見直しは意外な効用を発揮するかもしれない。