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 ブログの執筆を始めて約半年経つ。当初は読者への助言・提言のつもりで“今日の一 言”を書き始めた。だが,ある読者のコメントがきかっけとなり,「SEの変革」を テーマに話をしてきた。SEの中には往々にして物事を否定的に見る人や後ろ向きに見 る人がいるが,そんな人に「このままで良いの?ちょっと考えたらどうか」と言いた かったからである。

3月30号のある読者のコメント

 過去の記事につけられたコメントを読みましたが,あまり程度のよろしくないもの も結構ありますね。馬場さんとしてはそう言う人にこそ自己変革を起こしてもらいた いと思っていらっしゃるのではないかと思いまます(それはおそらく無理ですが)。 でも,コメントをつけなくても,馬場さんの言葉に「我が意を得たり」と思っている 人もたくさんいると思います。そういう人を,力づけてください。これからもよろしくお願いします。
(40代,システムインテグレーター,SE)

 興味がなかった読者の方には申し訳なかったと思う。ただ,「SEマネジャは独りで 顧客を訪問せよ」「SEはマルチでやれ」「SEの体制図を出すな」などとちょっと変 わったことを4カ月近く書いたが,それなりの反響はあった。会合で読者の方と会うと お世辞半分かもしれないが「部下に読めと勧めています」などと言う声を何人からか聞いた。

 いずれにしても現役の方々は明日のSEと日本を考えて頑張ってほしい。ブロ グを少し軌道修正し,初心の“今日の一言”に戻したい。とは言え,またいつか脱線す ることもあるかもしれないが,その時はお許し願いたい。

SE人生を大きく左右する一言

 さて,本論に入るが,筆者は,40歳の頃だったと思うが,入社以来約20年働いた第一 線部隊から本社に異動した。その時筆者は長年の現場経験で身に付けた「第一線のSE の在り方」に関する自分の考えを後輩に残そうと思った。

 それは「俺も東京・地方勤務経験,大手企業・中小企業の担当経験やシステム開発・ 提案活動の経験,他社ユーザーへの売り込み経験などいろいろな経験をした。そして 自分なりに現場の『SEのあり方』などを掴んだ。そしてそれをベースに後輩や部下を 『それはこう考えてやった方が良い』とか『技術屋らしくやれ,営業に迎合する な』『体制図は出すな』などと指導して来た。ただ,それは今思うとその都度その都 度に自分の考えを断片的に言っていただけだ。これまで一回もまとめて説明したことがな い。是非それをまとめて後輩に残すべきではないか」と思ったからだった。きっとそ こには現場を離れる感慨深さや淋しさもあったのだと思う。

 しかし,いざ書くとなると「後輩に言いたいことはいっぱいあるが何から書こうか?」 「これだけは絶対忘れるな!という,SE人生を大きく左右する一言から書きたい。それ は何だろうか?」と悩んだ。

 そして「ああでもない,こうでもない」と考えたあげく,筆者は「SEはSEの任務やSE の存在価値を自覚しろ」書いた。そして続けて「SEの任務はビジネス目標の達成とお 客様の満足度の向上である。しかも両者の重要度は50%,50%だ」と書いた。筆者は当 時部下や後輩にこのセリフをよく言っていた。読者の皆さんの一言はどうだろうか。

 筆者は当時「SEはしっかりした価値感や心構えを持つことが重要だ。その中で特にSE の任務や存在価値をしっかり自覚することが不可欠である。それによってしっかりし たSEにもなれば顧客に冷たいSE,技術偏重SE,ビジネスマインドに欠けるSE,営業に迎 合するSEなどいろいろなSEになる」と考えていたからである。

SEの任務は何か,会社は何に給料を払っているのか

 例えば卑近な例だが,SEの中には,IT技術に強くなることや資格をとることには情熱 を傾けるが,顧客の声やビジネスには関心を払わないSEがいる。その他にもちょっと 疑問に思えるSEが結構いる。技術的に問題があっても顧客が言う通りに仕事をする SE,売らんかな意識が先行するセールス的SEなどだ。当時も先輩SEや後輩SEを見ても 今と同様にいろいろなSEがいた。筆者はそんなSEを見ると彼ら彼女らSEの任務を考え ているのだろうか?もし考えているとすれば,本当にIT技術に強くなることや技術面 で問題があっても顧客や営業に指摘しないことがSEの任務だと思っているのだろうか ?もっと言えば,そのために会社がSEに給料を払っていると思っているのだろうかと 疑問に思っていた。

 部下や後輩にはそんな中途半端なSEになってもらいたくなかった。部下や後輩は職業に 誇りを持ちお客様を大切にしビジネスを引っ張るSEになってもらいたかった。

 そこで筆者は日頃部下に「君達は“SEの存在価値は何か?任務は何か?”を考えてく れ。分かりやすく言えば,会社は我々SEに何のために給料を払っているかを考えるこ とだ。俺はそれはビジネス目標の達成とお客様の満足度だと考えている。SEの世界に はIT技術に詳しいSEが偉いという風潮があるが会社はSEが技術に強くなるために給料 を払っているのではないよ。ビジネス目標の達成とお客様の満足度と言う任務を達成 するために給料を払っているんだよ。要はIT技術に強くなるのはこの任務達成の手段 であって目的ではない。これを間違えるなよ」とよく言っていたものだった。

 その甲斐があってか,部下のSEの多くは日頃自分は何をやればビジネスに貢献できる か,何をやればお客様に満足していただけるかと考えてイキイキと能動的に行動していた。 もちろん,顧客に冷たいガリ勉SE,偏差値SEなどの技術偏重SEはまずいなかった。彼 らはきっとSEの任務をしっかり理解していたのだと思う。

常日頃から部下に問題提起し討議させよ

 以上いろいろ述べたが,現在IT業界では多くのSEが顧客に冷たい,ビジネスマイン ドがない,技術偏重などと評されているが,筆者はSEマネジャや先輩SEは後輩SEに 「SEの任務や存在価値」を教育・指導しているのか疑問に思う。きっと年に1,2回は SEマネジャなどがSEに「お客様の満足度とビジネスが重要だ」云々と言っているのだ と思う。だが,一方では,365日,24時間SEに「何故それが分からないんだ。技術に 強くなれ」などと技術・技術と言っていては,SEが自分の任務を考えなくても不思議 ではあるまい。そうではなく毎週,毎月,意識的に「SEの任務は何か」「会社は我々 に何のために給料を払っているか」など部下に問題提起し討議させ自覚させることが 肝要だ。これが今日の一言である。