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図1 ウェアラブル冷房服の第2次プロトタイプとして開発したユニバーサルケープ
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図2 冷房機能付車椅子
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 8月1日に東京のお台場、8月6日に銀座で、ウェアラブル冷房服の体験イベントを行った。プロトタイプのウェアラブル冷房服を一般の人に使用してもらい、利用者の声を集めることが主な目的である。今回は8月6日に実施した銀座でのイベントの様子を中心に報告する。当日は若い人からお年寄りまで多くの方々に関心を持っていただき、様々な意見を聞くことができた。

 体験イベントでは、ウェアラブル冷房服の第2次プロトタイプとして開発したユニバーサルケープ(図1)と冷房機能付車椅子(図2)を実際に使ってもらった。冷房服の方は、以前ご紹介したベストタイプ(前回記事)とは違って、体を覆うケープのような形状となっている。コンセプトは、「羽織るだけで、猛暑でも快適に過ごせる不思議なマント」といった感じだろうか。着ることによって便利になる、まさにウェアラブル技術を凝縮したアイテムといえる。

 このユニバーサルケープにもペルチェ素子を使っている。今回はペルチェ素子のほかに、ファンを追加することで、冷却効率を上げる工夫をしている。また冷房機能付車椅子にもペルチェ素子を使っている。車椅子のシートに冷風を送り込むという仕組みだ。

気温37度の猛暑でイベント決行、利用者から様々な声が

 当日は、銀座8丁目からスタートし、お昼過ぎの日差しが厳しい大通りを移動した。すると歩行者天国を散策している多くの人に関心を持ってもらうことができた。

 ユニバーサルケープと冷房機能付車椅子を体験して下さった方からは様々な意見を頂戴した(図3)。「ひんやりして気持ちいい」、「完成したらぜひ使いたい」、「女性用のデザインも作って欲しい」など、実用性を裏付けるようなうれしい意見を聞くことができた。一方で、「急激に冷えるのではなく、徐々に冷やして欲しい」、「もっと体に密着させて欲しい」など、今後の開発の参考になる意見や感想も多かった。

 この日の銀座は、お昼過ぎに気温が37度を超える猛暑。路面付近の温度は50度を超えており、ボランティアスタッフの皆さんも汗が止まらない様子だった。とくに車椅子を利用する方の場合、体が路面に近くなる分、地面からの照り返し熱のせいで歩行者よりもさらに暑く、脱水症状を起こしやすい。冷房機能付車椅子が完成すれば、こうした劣悪な環境を緩和するのに役立つだろう。
  
 今回のイベントで強く実感したことは、欲しいものは十人十色であるということ。一口にウェアラブル冷房服といっても、冷やして欲しい場所、冷えていると感じる温度、デザインや使いやすさなど、どれをとっても1人として同じ要望の人はいないことがわかった。そして、まさにここに『ウェアラブルである意義』があるのではないだろうか。同じ温度でも、寒すぎると感じる人と、暑いと感じる人がいる。この2人がウェアラブル冷房服を持っていれば、それぞれが自分に合う温度を設定して、同じ空間で快適に過ごせるのである。
 
 ウェアラブル冷房服を実際にユーザーに体験してもらうことで、今後の開発への有用な指針を得ることができた。細かい温度設定が出来るように制御の仕組みを改善すること、もっと快適かつ自由に動けるように軽量化を目指すことなどを当面の課題として、さらなる開発に取り組んでいきたい。


図3:東京・銀座でユニバーサルケープと冷房機能付車椅子を体験して下さった皆さん
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※第4回の記事は、板生清氏が理事長を務めるNPO法人「WIN(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)」ケーププロジェクトリーダの川久保佐記氏に寄稿していただきました。