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 「回収できなかったらどうしようかと思ったこともあった」。東証一部上場の中堅ITサービス会社、ニイウスコーの末貞郁夫会長は、ITサービス事業立ち上げに200億円以上を投資した胸のうちを明かす。

 同社はこの3年間、売上高が800億円弱で伸び悩んでいる。92年に野村総合研究所と日本IBMの共同出資で設立されたニイウスは、IBM製品などを金融機関中心にシステム販売し、年率平均40%以上という急成長を遂げて、2002年東証二部、2003年東証一部に上場を果たした。それが一転して横ばいになってしまった背景には、「ハードの価格性能比が向上し、売っても売ってもトップラインが伸びない」(末貞氏)からだ。数年前に8億円したシステムが2億円と4分の1程度に下がったという感覚だという。加えて、ニイウスコーが得意としてするハードやミドルウエアのエンジニアの価値が低くなってきた。チューニングなどをして、性能を上げるより、より高性能なハードを調達したほうが安価で、しかも効果を上げられることが増えているからでもある。

97年6月期 98年6月期 99年6月期 00年6月期 01年6月期 02年6月期 03年6月期 04年6月期 05年6月期 06年6月期 07年6月期計画
売上高(億円) 58.97 105.32 120.51 240.52 300.17 375.29 504.92 788.08 789.08 789.08
経常利益(億円) 1.05 2.96 4.85 9.73 12.79 16.4 25.09 40.51 59.32 56.82 65.36

 そこで、ニイウスコーはハード販売中心のディーラービジネスからサービスビジネスにシフトすることを決断した。「ユーザーが求めているアプリケーションを作る」(末貞氏)ために、約240億円(増資で140億円、長期借入れで100億円)を確保し、沖縄のデータセンターなどITインフラの整備と20種類のアプリケーションを用意した。大きくは(1)地銀向け勘定系、(2)同情報系システム、(3)外為系システム、(4)中堅クレジットカード会社向けシステム、(5)個人ローンシステム、(6)医療情報システム、(7)通販会社向けシステム、(8)連結会計システム、の8つである。

 これらアプリケーション・サービスは、05年7月に稼働した沖縄のデータセンターからASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)、つまり使用量に応じて料金を支払う形態で提供する。「地銀や中堅クレジットカード会社、医療機関など競争が激しいエリアのほうが、ASPなどサービスへの興味が高い」(末貞氏)。もちろん、別な方法もある。例えば20行以上で採用された個人ローンシステムは、契約者の利用金額の何%を得るという仕組み。

営業利益率を10%台に

 ところが、サービスビジネスの立ち上げが遅れてしまった。業態転換の基礎固めの06年6月期に売り上げ構成比で30%を見込んでいたサービスビジネスが20%弱に終わってしまった。そこで、サービス開発を急いで進め、06年6月期に終了させた。「この2年間、アプリケーション・サービスの開発に死に物狂いで取り組んだ」(末貞氏)。3年間でブレークイーブン、5年間で収益を確保する計画。ちなみに、売上総利益率はディーラービジネスの20%に対して、サービスビジネスは倍の40%もある。

 「ソフト資産は膨らんだが、今後は償却だけになるので、新サービスが立ち上がれば順調に成長できる」(末貞氏)。この間、サービスをきちんと継続して提供していけるのかを、ユーザー企業は見ている。「信用を得るために資本金を厚くした。自己資本比率はディーラービジネスなら25%でいいが、サービスビジネスは40%必要」(同)。

 こうした体制整備などにより、サービスビジネスの構成比を09年6月期に37.6%に高め、売上高1200億円(06年6月期789億円)、営業利益120億円(61億円)にする。粗利益率の高いサービスビジネスの比重が増せば、営業利益率を今の7%台から10%台に引き上げることも可能になる。

 「IT業界のサバイバルが始まった。ある特定分野でナンバーワンになれないと生き残れない」(末貞氏)。だが、例えば売上高1兆円弱のNTTデータと真っ向から勝負することは不可能である。得意な分野を定め、その関連サービスをいち早く立ち上げることだ。そのため、末貞会長をはじめ持ち株会社のニイウスコー、事業会社の役員が地銀など有力顧客にトップセールスをかけている。